家族に幼い子供がいながら働いていれば、避けては通れないのが「子供の発熱による突然の欠勤」です。
休む方は申し訳なくて肩身がせまいものですが、休まれる側もそれなりに大変です。
私はワーキングマザーとして休む方を、仕事を依頼したスタッフに休まれる方と、両方を経験しています。そこで気づいたのは、「子供の発熱で突然休む」そのものは、肩身の狭さを感じたり、謝られたりするようなことでないということです。
「突然休む」は誰にでもありうる
「突然休む」ことそのものは、誰にとってもあることです。
めったにない「想定外」といえる出来事、例えば家族の交通事故や突然発症する重病、突然の訃報というのは、子育てママでなくとも突然休むことになるでしょう。
たまには大人であっても、突然の体調不良はありえます。会社員であれば、有給を使って休むことになるでしょう。
「当たり前の出来事」には日頃から対策を
子育て中のママが「子供の発熱で突然休む」というのは、その頻度が多いことが、先に挙げた例との違いです。
ただ、「子供の発熱で突然休む」は、「想定外」の出来事でしょうか。
特に保育園や幼稚園に通う子供が「風邪で熱を出す」は、かなりよくある出来事です。自然の摂理から考えて、0にすることは不可能でしょう。
とすれば、子供の熱など、「雨が降る」くらい「当たり前」のことではないでしょうか。台風や堤防の決壊レベルの大病にはまた別の対応が必要ですが、「雨が降る」くらい「当たり前」のことなら、「天気予報をチェックする」「傘を買っておく」「折り畳み傘を持ち歩く」などと同様に、当たり前のこととして普段から備えておきたいものです。
困るのは「何も対策していない」こと
「今日は子供が風邪を引いたので休みます」と連絡をもらったとき、職場の人はなぜ困るのでしょうか。
私は連絡される側になって、「前もって分からない不在への対処」が問題なのだと理解しました。その対応がわからなかったり、手間だったりするから、戸惑うのです。
例えば、
- あなたが締め切りを守れないというその業務はいつ誰がやるのか分からない
- あなたが今日やらなくてはならなかった仕事がなんなのか誰も分からない
- あなたが普段担当している仕事のやり方を他の人が誰も分からない
- あなたがいないと資料がどこにあるのか分からない
- あなたしか、その資料を持っていない
- あなたがいくはずだった商談の相手になんといえばいいのか分からない
- シフトに入ってくれる人を探さないといけない
こんな状態だったら、お子さんの看病に専念してもらいたいと思っていても、電話やメールで確認する必要や、場合によっては「なんとか来てほしい」と言わなければいけないこともあるかもしれません。
これでは、
「子供が熱を出しても休めないなんて、ひどい職場!」
「いつも突然休んで仕事を投げ出して無責任な人!」
と批判し合う状況にもなりかねません。
子育て中のママが働いているのに、本人と職場が「子供が突然熱を出し、突然休む」という事態に、日頃から備えていないのが悪いのです。
ママができる対策いろいろ
育児をシェアできる相手を確保する
「自分ひとりしか育児の担い手がいない」と「子供の発熱」時には、仕事もプライベートも外部の人との約束が守りづらくなります。
まず、目指したいのは、ワンオペ育児からの脱出です。
- 夫や互いの両親、きょうだいや友達で子供を見てもらえる関係をつくる
- ママ仲間などで預けあえる関係をつくっておく
- 行政の行っている一時保育や病後児保育などを熟知しておく
といった対策があります。
私の場合は、当初は地元から離れて核家族でした。しかし、育児と仕事のしやすさを考え、育児のフォローをしてくれる人や昔からの友達も多い、私の地元にUターンしました。夫も転職し、私の両親と同居することにしました。
子育て中の諸事情に理解のある職場を選ぶ
育児をシェアできる人はいなくても、働く必要があるママは多いことでしょう。
その場合は、「子供のことで急に休むことがある」を受け入れてくれる職場を選びたいものです。そうでないと、休むたびにどんどん居づらくなり、結局働き続けられなくなります。
そうした職場は少ないかもしれませんが、確かにあります。就職前の面接時などに、事情を伝えて了承を得ておきましょう。
例えば、
- 事前にその事情を伝えて、派遣社員として条件に合ったところで働く
- 託児所つきの職場を選ぶ
- 時間や場所の融通がきく仕事を選ぶ
- チームで仕事をしてフォローしあえる体制が取れている職場を選ぶ
といったことがあります。
職種と勤務形態を選ぶ
「急な欠勤に対応しやすい」というのは、職種や勤務形態も関係あるでしょう。休みにくい職種・勤務形態の場合は、そこを見直してもよいのではないでしょうか。
私のこれまで経験した職種では、以下の職種と勤務形態が比較的大変でした。
「新聞記者×フルタイム正社員」
- 一人で仕事を進めることが多く、通常は急な欠勤に対して代わりがいない
- 長時間の勤務が日常的
- 毎日毎日の締め切りを守るために、自分の都合で仕事を抜けるなどできない
「営業事務×正社員」
- 決められた時間に職場にいるのも仕事のうち
- 持ち出せないデータが多くテレワークNG
- 会社のセキュリティの関係で休日出勤NG
地元を長らく離れて核家族だった私は、上記のような仕事の経験から、子供の病気や行事ごとなどにも対応できるよう「コピーライター×フリーランス」「WEB編集者×派遣社員」を経て地元に戻り、「書籍編集者×正社員(フレックスOK・テレワークOK・チーム型ワーク)」といった職種と働き方にシフトしていてました。
職場内で情報と業務の共有を普段からしておく
これはデンマークを取材したときにも教えられた「急に休めるポイント」です。
自分の業務の進捗、資料やデータの場所などを共有し、チームで仕事していれば、チームメンバーがフォローしやすくなります。
フリーランスの場合も、プロジェクトごとにチームで仕事をしたり、フォロー業務を外注することで、融通がききやすくなります。
ちなみに、デンマークでは、子供の風邪だけでなく、プライベートの遊びでもみんな休むので、ママだけが「しょっちゅう休んで気まずい」ことにはならないそうです。
普段から前倒しで仕事をしておく
これは活躍しているワーキングマザーに取材したとき、多くの方がおっしゃっていたことです。
仕事の締切は2日程度前に設定して進めていれば、子供の突然のトラブルにもゆとりをもって対応できます。
何事もなく進めば、余った時間で質をより上げたり、空いた時間で「急がないけれど重要な仕事」に着手することができます。
休む連絡をするときは「その日の対策」もセットで伝える
いろいろと対策をとっても、それでも休みを0にするのは、不可能だと思います。
その日、休むことを伝えるときは、その日の仕事の対応も伝えれば、上司や同僚の気がかりと手間を最小限に抑えることができます。
例えば……
- 自宅で書類作成は進めるので、明日提出予定の企画書は大丈夫です
- 今日会う予定のお客さまには、自分から連絡して日程変更を頼んであります
- 打ち合わせには、スカイプで参加します
- 今日の提出する資料はあのフォルダにあります
- この業務はお願いできませんか
といった具合です。
これはなにも子育てママに限ったことではなく、本人の体調不良など「突然の欠勤」全般に対して共通することだと思います。
まとめ
私はワーキングマザーとして16年間働いてきました。また、育児中のママと一緒に仕事することも、多くありました。子供を理由に急に休むときは謝ってばかりいましたが、休まれる側になると、別に謝ってほしいわけではありませんでした。
子供がいるいないに関わらず、突然の欠勤に際してもスムーズに仕事を進めて信頼関係を維持するには、「普段から真摯に仕事に取り組む」ことが前提だと感じます。
また、予想できるトラブルに際しては本人・職場ともに「できる対策はやってきた。今日は万全ではないかもしれないが、ベストを尽くす」「できることはやる。できないことは協力しあう」という姿勢が、ポイントだと考えています。職場の人に助けてもらったら、返せるときに返そう。それでいいように思います。
謝るよりも、ありがとうございますと、お互い感謝の気持ちでいたいもの。仕事も育児も、明るく楽しく、責任感と誇りをもって取り組んでいけたらいいですね。
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