「私は文章を書くのが苦手で……」
PTAや会社の広報誌、記念誌などに寄稿を頼まれたときに、こんな言葉で逃げていませんか。
でも実はいくつかのポイントを抑えれば、文章はぐっと分かりやすくなります。
編集者としてライターさんの原稿をチェックしたり、経営者や研究者の方々の原稿を添削したり、一般の方向け文章講座を開催させていただいたりした経験をもとにしたアドバイスです。
1文を短くする。目安は1文40字程度まで
文章が分かりにくくなる原因の筆頭が、「1文が長い」ということです。
私は1文40文字程度までに収めることをお勧めします。40字の文章とは、例えば以下のようなものです。
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集団に慣れにくいお子さんの場合、離れたところからしばらく見ている時間も必要です。
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一方、100字を超えると、分かりにくくなるリスクがかなり高くなりますね。
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集団に慣れにくいお子さんの場合、離れたところからしばらく見ている時間も必要ですが、これまでお子さんと一緒に過ごしてきたママにとっては、それも気がもめることかもしれないと迷ってしまい、どうアドバイスしてよいものやらと、私はずっと気になっています。
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間違いではないかもしれませんが、分かりにくいですね。
とはいえ、すべての文章をブツブツ切ると、かえって不自然になることもあります。
ではどのような判断基準で、文章を短くしたらよいのでしょうか。
以下のチェックポイントでご確認ください。
2,基本は単文。複雑な文章は2つ以上に分ける
長い文章は分けましょう。複雑な構造の文章は、それだけで分かりにくいからです。
複雑な構造とはどういうことでしょうか。
文章の構造は単文、重文、複文に分類できます。
単文:娘は笑った。
「主語と述語」がひとつだけある文章です。
重文:娘は笑い、妻も微笑んだ。
主語と述語を含む部分2つ以上が、対等な関係で並ぶ文章です
複文:娘が笑ったので、妻は怒った。
「主語と述語」が2つ以上あり、それが対等でないもの
この中の「単文」が1番シンプルで、分かりやすい文章にしやすい構造です。
1文が長く分かりにくくなったら、単文に分けられないか考えてみましょう。
先に挙げた例文で単文を意識すると、こんな感じです。
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集団に慣れにくいお子さんの場合、離れたところからしばらく見ている時間も必要です。
しかし、ママはこれまでお子さんと一緒に過ごしてきました。
そんなママにとっては、こうしたお子さんの姿も気がもめることかもしれません。
こんな風に考えを巡らせては、あれこれと迷ってしまいます。
こうしたママにどうアドバイスしてよいものやらと、私はずっと気になっています。
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前より、分かりやすくなりましたよね。
3、「修飾語と被修飾語」はなるべく近くに
次に、単語の並べる順番についても考えてみましょう。
100m走で毎回1位になる「彼」に関する文章を例に見てみます。
A,いつものように彼は軽快に走り出して1位でゴールした。
B,彼はいつものように軽快に走り出して、1位でゴールした。
C,彼は軽快に走り出して、いつものように1位でゴールした。
「彼」が毎回1位でゴールすることは、どの文章が1番分かりやすいでしょうか。
……答えはCですね。
修飾語の「いつものように」が被修飾語の「1位で」と隣接していると、伝えたい状況がストレスなく伝わりやすくなります。
4,本当にこの単語は必要か? 余計な文字を削る
文章を書いたら、余分な単語がないか、もっとシンプルに言えないか、推敲しましょう。
「余分」というのは、感覚的で分かりにくい表現かもしれませn。
例えば、読み返して、以下のような印象を受ける部分には要注意です。
「なくても意味が変わらない」
「ないほうがリズムよく読める」
「無駄な形容詞や副詞が多く、くどくど言い過ぎている感じがする」
この例としては、谷崎潤一郎の『文章読本』での添削をご紹介します。
悪文の例として挙げられたのがこちらです。当時の小説の一節です。
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何事も忍び忍んで病苦と闘いながらよく耐えて来た母も、遂に実家へ帰らねばならぬ日が来た。
学校から帰って、家の中に母のいないことを知ると私は暗い暗い気持ちに沈んでいった。
父は「実家へ行ったが直ぐ帰って来る」と云ったけれど、私には嫌な嫌な予感があった。
母のいない、海底のように暗い家の中に、私達兄弟の冷たい生活はそれから果てしなく続いた。
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これを谷崎潤一郎が書き直したらこうなりました。
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病苦と闘い、何事をも忍んで来た母も、とうとう実家へ帰る日が来た。
私はある日学校から帰ると、母がいないことを知って、暗い気持ちがした。
父は、「実家へ行ったのだ、直ぐ帰って来る」と云ったけれども、嫌な予感があった。
それからは母のいない家の中に、私達兄弟の冷たい生活が続いた。
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好みはあるかもしれませんが、文の意味は確かに分かりやすくなっています。1文40文字以下に収まっていますね。
うまく文章が書けないとお悩みの方は、書いた文章を推敲するのをお忘れなく。そのときは、まず上記4つのポイントをチェックして直してみてはいかがでしょうか。
よかったら、お試しください。
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