7月9日(日)、オリンピックディスタンス(スイム1.5km、バイク40km、ラン10km)の大会である「のとじまトライアスロン大会」に参加しました。数回に分けて、参加レポートをご紹介しています。
☆これまでのお話
のとじまトライアスロン参加レポートその1 大会前日の受付・開会式・セミナー・説明会・試泳
のとじまトライアスロン参加レポートその2 朝の準備はゆとりを持って
のとじまトライアスロン参加レポートその3 またもスイムで恐怖のパニック?!
「入水チェック」は、無事に海から戻ったかを確認するため
「入水チェックを始めます。選手の皆さんは、海から上がってください」
審判員の方が拡声器を使って呼びかけを続けていました。
「入水チェック」とは、その名のとおり、入水のチェックです。
この「チェック」とは、選手が水の感触をチェックするという意味ではなく、大会運営側が「どの選手がスイムエリアへ入ったか」をチェックします。
選手は、計測チップが仕込まれたアンクルバンドを足首につけています。この計測チップをつけてスイムスタート地点へと入ることで、「スタート(スイムパートに参加)した」ことが計測されるというわけです。
余談ですが、スイムパートを終えたことは、水から上がってトランジットに向かう時に、これまた計測チップで計測されます。
なので、スイムパートを泳ぎきれずリタイアしたとしても、この計測エリアを必ず通って戻りましょう。
そうでないと計測上は「選手のひとりが、水から上がってきていない」となってしまいます。沖や海底を探さないといけない事態ですよね。
落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け
というわけで、一度、海から上がり、計測地点の後ろに下がりました。
このとき、私の頭の中は、先程の試泳で現れたパニック症状のイメージでいっぱいです。
なんとか落ち着かねばと、深呼吸をして
「確か、他のトライアスリートの記事に、『ほかの人と話すとよい』と書いてあった」
と思い出し、富山から参加している審判員の方の顔を捜してトランジットエリアを海とは反対側に歩きました。
すると、いた!いた!いらっしゃった!
富山県から審判員として参加されている、私が勝手に「バイクのお師匠さん」とお慕いしている方の姿を見つけました。彼は、私の実力も状況もご存知です。
「試泳でパニックになってしまいました」
と涙目のワタクシ。
「プールで練習すれば、2000mだって楽に泳げるんです! 海に慣れなきゃと思って、海で練習もして、一人なら泳げたんです! でも、大会当日になると、首が締まるみたいに、息ができないんです!
心拍数が上がってきた200から300メートルあたりで視界も悪くなる。そのときに怖くなり、息ができなくなるという傾向も分かっているんです。でも、どうもなりませんでした。また溺れるかもしれません!」
とまくしたてられ、びっくり顔のお師匠さん。
「りかさん、ここまで来たら、そんな悪いことをイメージしてもしかたないですよ。泳ぎきれたところをイメージして、落ち着いていけば大丈夫です」
と声をかけてくださいました。
そうですよね、そうですよね。落ち着くしかないですよね
と、深呼吸しようとした瞬間、
「りかさ~ん」
と、女性が駆け寄っていらっしゃいました。以前、自転車イベントでご一緒したことのある女性アスリートの方です。
「りかさん、頑張ってください! いつも、ブログ読ませてもらってます。すごい充実した生活を送ってらっしゃるなあって面白くて、特に時間の使い方のお話は、すごく参考になりました!」
私のナーバスな心境や私とお師匠さんの会話をご存知ない彼女は、満面の笑顔。そのお顔から「ブログ」という単語が出てきた時私の意識に変化が起きました。
あ、そうだ。私、ブログ書いてるんだった。彼女もブログを楽しみにしてくださってたんだ……
と、「スイムで溺れる」から、意識が離れた瞬間、体がふっと軽くなり、呼吸が楽になりました。ちょうど、怖い夢から目が冷めたような感覚です。
「あ、あ、ありがとうございます。頑張ります」
とお師匠さんと女性アスリートに手をふり、トランジットエリア前方に戻りました。
そこには夫と子供たちが待っていました。
「さっきの試泳で、パニックになってしまったんだよ。もしかすると、4つ目のブイ(浮き)あたりで、溺れるかもしれない。あのあたりから底が見えなくて、怖くなるの」
と夫に説明しました。
すると夫は
「そこまで分かっているなら、落ち着いて対処できるよ。さっきパニクっといてむしろ良かった。本番は大丈夫」
との返事。
そうかな
絶対そうだよ
そんなことを言っているうちに、試泳前くらいに落ち着いてきました。
子供たちからもらった「緊張しない呪文」
そのやりとりを聴いていた子供たち。
「お母さん、緊張しられんな。その怖いところになったら、『ビチグソ丸』の名前でも、唱えたらいいちゃ!」
と柵の向こうから、高1長女が叫びました。
『ビチグソ丸』とは、最近映画化されたことでも知られる空知英秋さん漫画『銀魂』に登場するサルの名前です。
落語「寿限無」をパロディ化しているようで、「じゅげむ、じゅげむ……」と始まるこの名前は、へんてこで非常に長い。この名前を中2次女は、真顔で暗唱できます。これを聴くと、いつも家族みんなで大爆笑なんです。
そのサル『ビチグソ丸』の本名は、以下の通りです。
※リンクからアニメのシーンを確認することも可能。(YouTubeへリンク)
姉の発言を聴き、中2次女が
「そうだ、そうだ。寿限無寿限無……」
と暗唱を始めました。大笑いの私。
「わかったよ。パニックになりそうになったら、『寿限無、寿限無、ぺぺぺぺぺ』って唱えるね!」
ナーバスだった気持ちはすっかり晴れやか。
私には、こんなにたくさんの応援がついている。きっと泳げる。苦しくなったら、ゆっくり行けばいい。大丈夫、大丈夫。
そんな気持ちに変わっていました。
7時20分。入水チェックをして、砂浜のスタート地点へと移動します。まずは、選手宣誓が行われました。
そして7時30分、スタートのエアホーンがなりました。私は家族に手を振ってから、最後尾から海へと歩いて行きました。
続く
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ここだけに掲載している林原りかの「自分史的自己紹介」をお届け後、言葉やブランディングで、ビジネスと人生を充実させるヒントをお伝えしています。返信もOK!
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