疲労回復効果の高い亜鉛を多く含む「牡蠣」。見かけたら食べるようにしています
2023年9月3日(日)に新潟県佐渡市で開催された佐渡国際トライアスロン大会のAタイプ(スイム 4.0km、バイク 190km、ラン 42.2km)を完走し、アストロマンになりました! 「ガンガン練習しているイメージもないのに、そんな大会を完走したとは…!?」という驚きのお声もいただいたため、今回は大会にむけた経緯や戦略、練習内容も含めてご紹介。「林原ができるなら、自分もできそう!」と思っていただけると幸いです。
心身の調子を整えて土台を強くする「コンディショニング」
「トライアスロン」というとハードなトレーニングをガンガンしているイメージを持たれがちです。
しかし、私を知る人なら私がそんなにガンガンやっていないこともご存じのはず。その分、私が重視しているのが「コンディショニング」です。
言葉の定義はいろいろありますが、ここでは「パフォーマンスの最大化を目的に、心身の調子を整えること」とします。
高いパフォーマンス(=速く走れるなど)を発揮するために、土台となる基本的な身体機能とメンタルを強くするイメージですね。
私が「コンディショニング」を重視する理由は3つあります。
失敗のほとんどは「体調を崩す」
こちらの回では、「3C分析」のフレームワークを使って、自分と佐渡トラと他の選手の情報を集め、分析したことをご紹介しました。
他の選手のロングトライアスロン参戦記や戦績を見て、気づいたことがあります。
それは、負ける(本人が狙ったタイムが出ない)原因は、ほとんどが「体調を崩す」だということです。
「熱中症の症状か、辛くて走れない」「足がつって走れない」「バイクで吐いて、ランで低血糖で走れない」「眠くて仕方ない」「前日に飲んで二日酔い気味」「体調不良で脱水になった」「下痢になった」などの理由で、本来なら望めたタイムが出ない。悪くするとリタイアもあります。
また、長距離走においては、一部の少年漫画に見られるような試合の最中に仲間のことを思ったらいきなりスリーポイントシュートが入ったり、坂道を猛スピードで駆け上がれるようになることはほぼありません。
練習でできたことが本番でもできるか、それができないかの二択だと認識しています。
私の「佐渡トラAギリギリ完走プロジェクト」は、自分の体調を100%にして臨んでも、果たして達成できるのか??という厳しい状況です。もしも「不調」に襲われたら、間違いなくアウトでしょう。
しかし、逆に体調を整えきることで、今回の戦略である「遅くならない」とすることは、ありえるのではないでしょうか。
そこで、大会までに「自分のベスト」な心身な状態を作ることや、大会に合わせてパフォーマンスをピーキングすることで、能力不足を補うことを目指しました。
しんどくないから取り組みやすい
正攻法で速くなろうとすれば、ガンガン走り込むことを勧められることでしょう。
そこでは、顔をしかめて耐えるしんどい時間がたくさん必要になります。
しかし、私は腰痛と咳喘息があり、追い込んだ練習は、そのあとのダメージがとても大きいため苦手です。
一方、コンディショニングは、しんどいと感じるような時間がわずか。気合なしに取り組めるところがいいと思います。
家でも仕事中でも家族とでも実行可能
トライアスロンのスイム・バイク・ランのトレーニングは家から離れて行うため、子育てや介護があると時間の確保が難しいこともあります。
しかし、コンデショニングは日常生活のなかで家でも会社でもできます。
家族と一緒に行ったり、ながら時間・隙間時間で行うこともでき、別に時間を確保しなくてもできることが多々あります。
例えば、生活時間を整えたり、栄養価の高い食事を作ることは家族のためにもなります(どっちにしてもご飯は食べるので、時間的負担増なし)。ストレッチは子供たちと話しながらでも可能です。
家族とのお出かけに、コンデショニング的な活動をからめることもできます。
といったことから、コンディショニングには取り組む必要があり、また取り組みやすい。
以下に私が実践している例をご紹介します。
生活のリズムを整える
睡眠や食事、排泄はなるべくリズムを整えています。
とくに睡眠は、カラダと脳の疲れをとるために最重視。最低でも6時間、普通は7時間30分、できれば8時間以上寝たいと思っています。
十分に休むと、トレーニング効果はもちろん、仕事のパフォーマンスも上がるため、誰にとってもオススメですよ!
食事を整える
栄養を十分に摂る
トレーニングをしていると、筋肉の補修や疲労回復などのため、栄養を十分に摂ることが重要です。
タンパク質を摂るためのお肉やビタミン類のために野菜など、ヘルシー食材たっぷりの食事は、家族から「わー、豪華!」と喜ばれて一石二鳥。
ちなみに、大会前にはカーボローディング(グリコーゲンローディング)と称して、麺やご飯など炭水化物メニューが増えます。こちらも子供たちは大好きなので喜ばれています。
胃がやられると補給食がとれず、ハンガーノックにつながります。胃は傷めないよう注意しました。
腸内環境を改善
腸内環境を整えると、食べた食事から十分に栄養が吸収され、栄養効率が高まります。
また、排便がスムーズな体質だと、遠征中や大会当日にトイレを心配する負担感が軽くなります。
余分な脂肪を落とす
筋肉は維持しながら余分の脂肪を落とすことで、自身の軽量化が可能です。つまり、ダイエットですね。
とくにバイクのヒルクライムやランは、本人の体重を減らすことでタイムが速くなることが知られています。
また、バイクの空気抵抗の7割は、自転車ではなく人本体によって起きているとか。
バイクのスペックや軽量化や「エアロ」にこだわりすぎる前に、自分のカラダから無駄な脂肪を落とし、軽く、細くしておきたいところです……まだまだなんですけどね、とほほ。
カラダを整える
柔軟性を高める
カラダが柔らかいと、怪我をしにくくなると言われています。
また、肩甲骨、胸椎、胸郭、股関節などの柔軟性が高いとスイムのフォームが良くなります。
バイクは背中から股関節にかけての柔軟性が高いと前傾姿勢を維持しやすくなります。
ランでも柔軟性を高めることで可動域が広がり、効率のよい走りにつながります。
というわけで、柔軟性を高めることでフォーム改善からのスピード向上につなげたいと考えています。
なお、柔軟性を高めるストレッチは子供と一緒にやると、楽しいアクティビティやスキンシップにもなります。
子供と話をしながらでも、テレビを見ながらでも、ちょっとした隙間時間で取り組めるところもいいですね。
筋肉をつける
トライアスロンのエイジ部門は、マラソン大会同様、男女一緒に行います。
男女平等の世の中ですが、男女の身体能力の差はやはりあります。
例えば、100mの世界記録。女子はジョイナーが1998年に出した10秒49で、30年間も破られていなことからも、すごいタイムであることが分かります。
ジョイナーといえば、筋骨隆々の黒人選手で、ソウルオリンピックの100m、200m、400mリレーで金メダルという圧倒的な強さは、私と同世代なら記憶されている方も多いのではないでしょうか。
しかし、その100mのタイムは男子にしてみると、2022年の日本の高校生1位で10秒37とジョイナーより速く、日本の中学生男子の歴代トップはジョイナーとほぼ同じ10秒4です。
男子なら日本の子供がジョイナーに勝てる。そのくらい男性と女性の身体能力差は、あるんですよね。
なお、男女の競技力の差を生む身体の違いは、筋肉量(率)の差によるものが大きいそうです。
つまり、何が言いたいかというと、そのくらい身体能力に性差があるなかで競技するには、「女性は筋トレしたほうがいい」ということです。
佐渡トラはもちろん、男女で制限時間が同じです。スイムのバトルも男女ごちゃまぜで、力が強いほうが有利です。
同じ土俵で、同じ条件で戦うと、筋力に劣る女性は、女性であるだけで不利なんですよね。
というわけで、女性の皆さん、筋トレをしましょう!
また、男性の皆さんにお願いです。紳士的に、他人を傷つけないように、トライアロンを楽しんでもらいたいと思います。
エイジ部門で女性参加者を叩いたり沈めたりしてでもガツガツ前に行きたいくらいなら、エリート部門の男性カテゴリーで全力を尽くせばいいのに……と思います。
私自身も男性に沈められたりゴーグル外されたりでスイムパニックになったことがあります。他の女性が腹をけられたり、痛い目に合った話も聞きます。
私は70代くらいまでレースに出たいと思っています。また、マラソンのように女性がもっと気軽にトライアスロンを楽しんでもらいたいと考えています。
が、高齢女性や初心者女性が、元気な男性にガンガン叩かれたり蹴られたりしたら、骨を折るか、命が危ないような気がします。そうやってトライアスロンを嫌いになられるのは避けたいなあと思っているんですよね。
おっと、話がそれてしまいました。気を取り直して次!
姿勢を正す
スポーツでフォームの大切さを説かれることはよくありますが、その前段階として大切なのが普段の姿勢です。
普段から猫背の方は、走るときに背筋を伸ばせと言われても、その時だけ伸ばすのは難しいものです。
でも、いつもの猫背を直すことは、トレーニングに出かけなくても普段から意識できますよね。
ほかにも、反り腰の改善や骨盤を立てた姿勢、腹圧を入れた状態なども、日常的に確認することができます。
姿勢(とポージングw)については、こちらでも。
スイムの腕の動きやランのドリルなども、ちょっとした隙間時間に練習することができますよ。※変な人だと思われるかもしれませんが。
熱中症対策
水分をたくさん摂る
大会の1~2週間前からは、水分を多めにとるウォーターローディングを心掛けています。
熱中症や脱水を防ぐためです。
脱水は内臓疲労、腎機能低下などにもつながるため、注意しています。
また、アルコールは利尿作用があり、ウォーターローディングに反作用するので、大会2週間ほど前からはほぼ禁酒としています。
暑熱順化
「暑熱順化」とは、暑さにカラダを慣らすことです。
昨年の佐渡トラは歴代1位の暑さで熱中症になる人がたくさんいましたが、今年の気温はそれ以上の予測です。
大会2週間くらい前から、日中の暑い時間に短めのトレーニングをして、カラダを暑さに慣らしました。
また、ランニングクラブで毎週汗だくになって走ったことは、佐渡のランを走るうえで、私の支えとなってくれました。
体の疲労を抜く
入浴
私がガンガン追い込んだトレーニングをあまりしないようにしているのは、加齢とともにカラダの回復が遅く、疲労が抜けにくくなっていることを感じるからです。
高校や大学の頃のような家に帰ったら寝るだけ、という生活でもありません。
トレーニング以外にも、やることはたくさんあります。みなさん、そうですよね。
そこで大事なのは、疲労を回復しやすくすることです。
一番簡単なのはお風呂に入ることかと思います。普段は湯舟に15分はつかるようにしています。また、練習後に立ち寄り温泉に行くのも大好きです。
ストレッチ
ストレッチは柔軟性を高めるとともに、疲れをとることにも効果的。
動画に合わせてやると、自己流よりもしっかり伸ばしやすいかと思います。
私のお気に入りはこちらのチャンネルです。
筋膜リリース
ストレッチの後は、筋膜リリースをしています。
腰痛持ちの私ですが、肩・背中・お尻をほぐすと、腰痛がすごく楽になります。
こちらスタジオJOIEさんで習ってきました。
自分で筋膜リリースするだけでは追いつかないときは、疲労抜きのエステもオススメです。
軽い運動
疲労を抜くためには、血行が良くなる程度の軽い運動をするのもいいですね。
軽い運動なら、子供との遊びに絡めて行いやすいと思います。
私は子供が幼いころは、遊ばせて公園の周りを走っていました。
最近はトライアスロンデビューした高2三女の練習に付き合って横でダラダラ過ごすのも、ちょうどいいアクティブレストになっています。
大会前はテーパリング
大会前に練習の負荷を落として、大会の日にピークをもってくる手法を「テーパリング」といいます。
2週間程度かけて疲労を抜くようにして、練習は「気持ちよく走り切れるイメージ」を心掛け、「いい気分」になることを重視しています。
心の疲労を抜く
五感で心地よくなる
脳の疲れには睡眠が効果的。体の疲れは先に上げたようなストレッチなどの疲労を抜きをするといい。あともう一つ、人間が疲れる部分には「心(感情)」があります。
心が疲れると、カラダは疲れていなくても動けなくなるなど、トレーニングにも支障をきたします。
精神科の先生に伺ったところ、心の疲れを解消するには、「五感で心地よい状態」を作ることがきくそうです。
「五感」とは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を指します。
つまり、キレイのものを見て、心地よい音楽や音を聴き、気持ちよいものに触れ、美味しいものを食べて、いい香りをかごう……ということですね。
ちなみに、これを一度で満たしやすいのが、山や海での登山・ピクニックや海水浴。
こうしたアクティビティなら、家族や子供とも一緒に楽しみながら、カラダも軽く動かせ、一石二鳥です。
他にも、アートや動物に触れることも五感を癒します。
私は子供たちにくっつくのも、癒し効果たっぷりで大好きです笑。
機嫌よく、気持ちよく過ごす
それから、メンタル面で心掛けているのは、トレーニングで疲れたり、思うように練習できなかったり、ダイエットで血糖値が下がったりしたときでも、不機嫌になったり、周りに当たったりしないことです。
私にとってトライアスロンやトレーニングは、あくまでも自己実現の手段や趣味です。
「佐渡トラAギリギリ完走」の目標も、自分が勝手に決めたこと。結果を出すことを義務付けられているプロやエリート選手とは事情が違います。
自分の楽しみのためにやっていることですから、変にストイックなアスリート気分に酔って、周りに気を使わせることがないようにと思っています。
むしろ、トレーニングや大会については「遊んでばかりで、すみませんっ!」という気持ちです(笑)。
ただ、今回ご紹介した「コンディショニング」は、普段の生活や仕事のパフォーマンス向上や健康づくりにも役立ちます……と自信をもって言えます。
トライアスリート以外の方にもオススメですよ!
++++++
……というわけで、次はトライアスロンに欠かせない、アイテムのお話をしたいと思います。
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