私ももう49歳。人生100年だとしても折り返しという長い人生となってきました。先日、ある書籍を読み、「これまで案外、幸せな状態へと順調に向かってきていたのではないか?」と感じました。
「幸せ」に必要な3つの資本をどうやって手に入れるか
今回読んだ書籍はこちらです。
私が以前、「独立してよかった」と思えるようになった書籍『お金持ちになれる黄金の羽の拾い方』の著者、橘玲さんの著書です(2023年3月発行)。
この2冊の間に、橘さんは「幸福」には土台となる3つの資本がある…という書籍も出版しています。
その3つの土台とは、以下の資本です。
- 金融資本…お金など。金融市場に資金を投じて利益を得る。
- 人的資本…スキル・能力などのうち、収益化可能なもの。労働市場に労働力を投じて利益を得る
- 社会資本…人的ネットワーク(絆・共同体への帰属)
今回の書籍は、さらに話を進め、どうすればこの3つの資本を手に入れ、「合理的」に増やし、最適化できるかについて、さまざまな先行研究や書籍を根拠に紹介しています。
幸せの前提と阻害要因
3つのパフォーマンスを上げる
本書のタイトルにある「合理的」とは、「道理にかなっていること。論理的に正当であること」を指します。
本書では「人生に投じることができる資源は有限」を前提に、幸せに人生を送るためには、どの資源をどう使い、どう増やすのが合理的かを論じています。
まず本書の前半では、「合理的」とはどういうことかについて解説し、それを妨げるものについて説明しています。
ここでは「合理的」だと判断する指標に以下3点の観点を定めています。
- コストパフォーマンス…同じ費用で、できるだけ大きなリターン
- タイムパフォーマンス…同じ時間で、できるだけ大きなリターン
- リスクパフォーマンス…同じリターンなら、リスクが小さいほうがいい
これを満たす選択が「合理的」というわけです。
幸せの土台はまず健康
また、幸福の前提として「健康」を挙げ、そのためには睡眠を重視することを指摘。
カフェインやアルコール、睡眠薬のデメリット、運動の効果などを強調しています。
合理的な選択を妨げるもの
慣れやさまざまな思い込み・偏見、同調圧力に代表される社会的な制約などが、合理的な選択を妨げるものとして紹介されています。
これによって、多くの人は、合理的に幸福を目指すことができなくなっていると指摘。日本人の多くは「合理的」であることにネガティブなイメージを持って「憎んでいる」といいます。
幸せになるための合理的方法
3つの資本の何が足りない?
3つの資本はどれを手にしているかによって、8つのパターンに分かれます。
例えば、3つともなければ「貧困」。
3つともあれば「超充」。
社会的資本だけなら友達や家族の絆が強い「プア充」。
人的資本だけだと仕事ができるけど仲間はいない「ソロ充」…などなど。
私はお金はあまりないけれど、自分のスキルで収入を得ていて、家族や仲間との付き合いが楽しい…ということで、人的資本と社会資本がある「リア充」に分類されるかと思います。
ここからは、3つの資本を手に入れるための「シンプルで合理的な人生設計」について提案が続きます。
金融資本の合理化
金融資本を得るとは、平たく言えば「お金持ちになること」です。
確かに人生の課題の多くはお金で解決できます(もちろん、お金で解決できないこと、手に入らないものはたくさんあります)
資産形成のためには、収入を増やす(人的資本の活用)、支出を減らす(節約)のほか、運用利回りを上げることが必要です。
収入を増やして支出を減らすことについては、『お金持ちになれる~』の中で「マイクロカンパニー」(ひとり社長)となることを勧めています。
で、「運用利回りを上げる」については、「コストパフォーマンス」「タイムパフォーマンス」「リスクパフォーマンス」の観点で判断しようというのが本書の提案です。
この判断基準だと、不動産投資や個別株への投資は、リスクパフォーマンスやタイムパフォーマンスの点で劣るということになるのでしょう。選ぶべき金融商品は「株式インデックスファンド」とのこと。
このほかにも、同じ資金をかけるなら住宅購入よりREITによる運用がよいとか、保険への考え方なども紹介しれています。
人的資本の合理化
人的資本については、他の研究などを根拠に、以下のように述べられています。
- 人的資本は一極集中…本当に大切なことかを決め、優先順位の低いことはやらない
- 「嫌なこと」はやらない…「嫌なこと」をやらされるから心を病む(夢中なことはどれだけやっても病まない)
- 自尊心は大きな人的資本(高い専門性)から生まれる…心理的安全性は、周囲の声掛けではなく、自分の専門性からもたらせる自尊心によるもの
- 「好きなこと、得意なこと」をマネタイズする…競争しなくても自分の能力が優位性をもつ市場を見つける
これらは、私が普段から意識して、周りの人にも勧めていること。すごく納得しました。
社会資本の合理化
人間関係や絆、コミュニティなどの「社会資本」を豊かにするにはどうするかについてです。
「成功」は、社会資本があるから成立します。いくらお金とスキルがあっても、一人では意味がありませもんね。
また、恋人や友人などへの「愛情」「友情」は時間資源をどれだけ投じるかで測ることができると指摘。
時間には限りがあるため、親しい関係を築ける人の数には限りがあります。
周囲にいる人、一緒に過ごす人から与えられる影響も大きいといいます。
そこで、だれかれかまわず時間を投じるのではなく、豊かな社会(人間関係)に身を置けるよう意識した方がよい、という主張です。
そこで勧められているが「人間関係を選択する働き方」です。会社員は働く相手やお客を選べないことがほとんどでしょうから、やはり独立推奨なんですね。
自分が大きな人的資本(スキル・専門性)を持ち、高い評判をもつ「仲間」とのネットワーク(社会資本)を築くことで、よりよい仕事ができるとのこと。
こうしたネットワーク社会では「情報や面白い知り合いを紹介すること」がGiverの姿勢としてオススメとのことです。
社会資本の充実が、また金融資本や人的資本の蓄積へとつながる…と3つの資本は互いに影響を与えあっているのだと感じました。
知らず知らずのうちに「合理的」だった
読了後の感想です。
まず驚いたのは、この書籍によるなら、私がこれまでの人生で「やむを得ず」とか「好きで」やってきたことが、「合理的」な選択にけっこう合致することです。
例えば、健康のための睡眠と運動については10年以上、最重視といってもいいほど重視してきました。
また、金融資本について。
- 家族の事情で出勤が困難になったため、労働時間や場所に融通をきかせながら収入と支出を最適化するために、ひとり社長の会社を作った
- 資金が少なく、物件や企業研究に欠ける時間もとれず不動産投資や株式投資は泣かず飛ばず。手間なしのインデックスファンドをずっと続けている
- 家族の退職や自身の独立で住宅ローンが組みにくくなったため、新築住宅は購入できなかった
人的資本について。
- ひとり社長となることで、仕事相手を自分で決められるようになった(反対に、離れていく人もいますが)
- 同じく、優先順位の低いことをしない自由がある
- 好きで得意なことを仕事にして、お客さまにもそれを勧めている(好きでないと、長い時間働くのは無理!と思ったから)
- 個性を大切にし、競争しないようにしている(売り込みや価格交渉が苦手なため)
- 苦手なことは外注している(ほんと苦手なことが多くて。苦手なことは時間がかかって仕上がりもイマイチ)
- できても苦手な仕事は、サービスメニューからなくす(楽しくないことは続かないと考えたから)
- 興味ないものには時間もお金も使わない(時間もお金も余っていないため)
社会資本について。
- 娘たちや好きな人、尊敬している人となるべく時間を過ごすようにしている(心地いいから)
- 情報提供や人の紹介に積極的(よいものや素敵な人を紹介する情報発信が好き!)
……などなど、人生でしんどいことがあったときに「やむを得ず」で選んできた選択や好きだからやってきたことが、橘さんのいうところの「シンプルで合理的な人生設計」に合っていたんです。
『お金持ちになれる~』では、「やむを得ず会社を辞めて独立した自分の働き方はダメじゃなかった」と励まされ、今回は「私のワークスタイル・ライフスタイルは、幸福を求める上で理にかなっている」と実感し、とても嬉しくなりました。
以前、私がけっこう大変そうな境遇のわりに元気なのは、「生きる促進要因が阻害要因よりも多いから」と指摘されて納得したことがあります。
さらに、幸福な人生に向かって合理的に進んできたなら、私が案外幸せなことも当然と言えますね(笑)。
とくに、このフレーズも「わかる、わかる」。
幸福とは、自分の人生を『よい物語』として語れること。不幸とは人生という「物語」が破綻してしまったこと。
成功とは、よい物語をつくれるような人生を設計することなのだ。
145P
挫折や辛いことがあったときは、「後から『あのことがあったおかげで、今の幸せがあります』と言えるように、やっていく」を判断基準にしてきたことを思い出しました。
また、講座やコンサルで「自分の人生を振り返り、再編集することで、前向きな力を得る」という「自分史ワーク」を取り入れているのは、やはりいいことだと再認識しました。
あとは、この本で勧められていることでやっていないのが、カフェインとアルコールを減らすこと、外貨建てインデックスファンドとREITです。これらにも、取り組んでいきたいと思います。
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