私は社会人になってから仕事をこなしたり、家庭生活をうまく営むために、自分の「女性性」を抑えてきたことに気づきました。今は「女性性」と「男性性」のバランスをとって、いいところを活かしたほうが、人生を楽しく豊かに過ごしやすいのではないかと思います。
ひとりの中にある「女性性」と「男性性」
「男性性」「女性性」という概念をご存知でしょうか。
「女性性」「男性性」とは、「女であること」「男性であること」ではありません。世間でよく言う「女性らしさ」「男性らしさ」、「女子力」などとも違います。心理的・精神的な性質の分類です。
「女性性」とされるのは「感情的」「やさしさ」「包容力」「柔軟性」「共感性」「受容力」「感受性」「連帯感」「育てる力」「慈心」などです。
また「男性性」は、「論理性」「リーダーシップ」「攻撃性」「積極性」「決断力」「行動力」「実行力」などが一般的です。
女性が女性性、男性が男性性、というわけではなく、ひとりの人間には女性性と男性性の両方が存在します。一般的には女性は女性性多め、男性には男性性多めブレンドであるとされていますが、配合比率には個人差があります。
男性性が評価されてきた学校や社会
私の実感として、日本の学校でも職場でも、 男性性が優位である人が優秀、有能と評価されがちです。
学校の成績表には「積極性」が評価観点に入っています。「リーダーシップがあります」は就職のときの自己PRの定番文句です。「私の長所はやさしいところです」では、成果にどうつながるか分かりづらいですもんね。
女性性の「感情的」「共感性」などは、職場においては「女はすぐ泣く」とか「相手の顔色ばかり見るな」とか、「これだから女は使えねーな」などと、なりがちではないでしょうか。
男女平等とされる社会ですが、評価の基準は男性性優位。また男性性をうまく活かすとうまく進むことも確かに多いものです。「決断して、行動しないと、成果はない」はもちろんそのとおりです。
すると、女性性多めブレンドの人は、女性性を抑えることで適応することになります。
仕事でも家庭でも男性性優位ばかりだと疲れる
私自身、新卒で会社員になったとき、男性的な組織の中で自分が異質なもののように感じ、劣等感をもちました。
三女出産後に職場復帰してからも、できる仕事人になりたいと「論理的思考」について学んだのを覚えています。今から思えば、「成果を出すために、男性性を発揮しないと!」と気負っていたんだと思います。
編集経費の削減策を女性のスタッフらに提示したとき、「林原さんは、人の気持ちが分からない。冷たくてビジネスライクすぎる」と批判され、「だってビジネスですよ」と一言だけ返して、相手を怒らせたこともありましたっけ……苦笑
また家庭では、前夫が病気を患ったこともあり、「私が強くなって子供たちを守らねば!」「一人でしっかり頑張らなきゃ」と肩に力が入っていましたね。
当時は自分の中の女性性的要素は、自分の「弱み」だと考えていたんです。
でも、男性性を発揮することばかりを重視していると、けっこう疲れます……。これは子供の頃から男性性を期待されて「男が泣くんじゃない!」なんて言われて育った男性も同じような疲れがあるのではないかと思います。
しかし、私は「女性性」を弱みと考え、「女性性」を出すと仕事がうまくいかなくなる、家族を支えられなくなると思い込んでいたところがありました。
女性性を活かしながら仕事でも成果を出せる
そんな私が「女性性を活かしつつでも、仕事で成果を出せる」と感じたきっかけは、2016年の女性活躍をテーマにしたデンマーク視察です。
デンマークでお話を伺った政治家や実業家の女性のみなさんが、女性性を感じさせる方々。外見的にも女性的な美しさにあふれてらっしゃる。仕事だけでなく、家庭生活や育児、プライベートも充実していらっしゃるんですよね。
最近見たアメリカのテレビ番組『SAY YES TO THE DRESS』(セイ・イエス・トゥ・ザ・ドレス) も興味深いものがありました。
この番組は、ニューヨークのマンハッタンにあるブライダルサロン「クラインフェルドブライダル」が舞台。花嫁たちがコーディネーターや家族らのアドバイスを受けながらウェディングドレスを決めるの過程が紹介されています。
このコーディネーターたちがとても優秀で温かみがあって……顧客の希望の聞き取りや提案の仕方がとてもいいのです。
社長やデザイナー、コーディネーター などが、優しさや共感性など「女性性」を発揮。笑ったり泣いたり、感情豊かに仕事に取り組み成果を上げていました。
また女性たちは、その人らしいメイクやヘアスタイルでおしゃれし、胸の谷間をガンガン出したファッションです。「女性としての美しさや魅力を隠すことなく、プロとして高い能力やスキルを評価されていることも印象的でした。
女性性と言われる性質には、自分を認めたり、誰かを受け入れたり、緊張を緩めたりなど、感情面に影響して心身を楽にする作用があります。
だから、デンマークの女性も「クラインフェルド」のメンバーも、自然体でリラックスしながら実力を発揮できているんでしょうね。
社会風土や文化の違いはありますが、「女性性」や女性としての美しさを手放すことなく、仕事でも成果を出して、人生を楽しむことはできるっていいですよね。
私は40代に入ってからやっと、自分の「弱み」だと思っていた「女性性」を無理に抑えたり、隠したりすることはないんだと思えるようになりました。ちょっと楽に、肩に力が抜けてきた気がしています。
女性性・男性性のいいとこどりでいこう!
結局、女性性と男性性は優劣ではなく、バランスと使い分け、使い方なんですよね。
男性性を発揮して、論理的に考えて大胆に決断することも大事。女性性を発揮して、相手の気持ちを理解したり受け止めたりすることも大事。
悪く使えば男性性は「強引」「乱暴」「支配的」となりがち、女性性は「優柔不断」「気まぐれ」「無責任」などになりがちです。
自分の中の男性性と女性性のどちらも否定することはなく、ナチュラルな自分が1番。自分を最大限に活かして、仕事もプライベートも楽に、充実させていきたいものですね。
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