「家事や育児があるんだから、仕事がたいしてできなくても仕方ない」と諦めてはいませんか。私も以前は家事や育児、家族の看病と仕事の両立に悩んだことがあります。そんなとき、励みになった1冊をご紹介します。
家事・育児・看病を担当しながら仕事でも成果
著者の佐々木常夫さんは、東大を卒業後、東レに入社。家庭生活では、自閉症の長男を含め3人の子どもを持ち、肝臓病とうつ病を患った妻を抱えた多難・多忙な日々を送りました。
一方で、会社では6度の転勤をこなし、破綻会社の再建やさまざまな事業改革などに取り組んだ結果、その成果が認められ東レ同期トップで取締役となったという経歴をお持ちです。
2003年から東レ経営研究所社長となり、2010年には佐々木常夫マネージメント・リサーチの代表に就任。
現在は経営者育成のプログラムの講師などを勤めるほか、内閣府の男女共同参画会議議員や大阪大学客員教授としてご活躍です。
佐々木さんを私が知ったのは、東レ経営研究所社長でいらした頃かと思います。
私が三女を出産し、編集プロダクションに入社した年の1年前である2007年に、この本は出版されました。
家事・育児と仕事に追われる日々に希望が
私は三女出産後、すぐにフルタイム正社員として再就職しました。
社内で評価を上げ、収入を上げていくためには、仕事で成果をあげなくてはいけません。
しかし、3人の幼子を育てながらフルタイム勤務で、家には病気の家族もいました。
私は、こんな環境で、どうやったら仕事で成果を出していけるものかと悩んでいました。
「母親が、責任ある仕事でちゃんと働くのは無理」といった思い込みがあったのでしょう。
そんなときに手にしたのが、この本です。
私と同じように、家族ケアの責任者として奮闘しながら、会社員としてもしっかりと成果をあげ、出世していく姿に驚きました。
「この状況で東レの取締役になれるとしたら、私程度の家族ケアなら、地方の中小企業で十人並みの男程度の働きはラクショーでは?」と思考のリミッターが外れました。
不思議なもので、「できない」と思い込んでいるとできないことが、「できる(かも)」と考えただけで、できるようになることは多いもです。
家事・育児と仕事で、睡眠時間も削りフラフラになっていた私に「工夫次第で、どちらもこなせるかもしれない」という希望をこの本は与えてくれました。
「重荷」があることは恥ずかしくない
「はじめに」で佐々木さんは、妻の自殺未遂を会社の人たちに話したことのことを次のように書いています。
世の中に重い荷を負っている人たちは数多くいるわけだし、それは決して恥ずかしいことでも、負い目を感じることでもないと考えたからである。いま思えば当然すぎることだが、当初、それは勇気のいることであった。
私も以前は、「起きている時間のすべてを仕事に当てられる人が優れている」という感覚を持っていました。
この感覚だと、家族ケアに時間と体を取られる人は、つまり私は3流労働者です。そんな引け目をどこかで持っていたように感じます。
しかし、今では「ケアを必要とする家族があってもそれは人として当たり前のことで、それでもいい仕事はできる」と考えるようになりました。
しんどいときに、佐々木さんの生き方・考え方は私を強く励ましてくれました。
また、関連図書で紹介された具体的な仕事術は、短時間で成果を上げるために大いに役に立ちました。
関連図書
『ビッグツリー』では、家庭生活がメインで描かれましたが、私がもっと気になったのは佐々木さんの仕事術でした。
「家に自分がいないと回らない」というなか、残業もできない状況です。たいていのワーキングマザーも同様かと思います。
そんな状態で、どうやって取締役になれるくらい、組織内で大活躍していったのでしょうか。
会社員ワーキングマザーとして働く私には、仕事へのスタンスや仕事術を紹介した本も大変参考になりました。
定時退社(ときには早退)で成果を上げるために、佐々木さんが取り組んだのが、「ムリ、ムダ、ムラ」を省いて生産性を最大化することでした。
佐々木さんの仕事へのスタンスで、とくに衝撃だったのは以下の言葉です。
「プアなイノベーションより優れたイミテーション」
自分のオリジナリティを出さなくては、とか、人のマネはよくないと考えがちだった私。
ワーキングマザーの中には、「あしでまといだと思われたくない」という思いから、仕事を抱え込みがちな傾向も感じます。
しかし、「組織としての成果を最大化する」ことにフォーカスすると、「オリジナリティ」とか「マネしない」とか「自分でやらなきゃ」が、組織にとってはどうでもいい「自己満足」だということが分かりますね。
佐々木さん自身、新しい部署に就くと、まずは過去の書類に目を通し、マネできるところがないかと、過去のうまくいった方法、失敗などを確認するところから始めていたそうです。
このほかにも、佐々木さんの仕事術のなかで以下のような事柄は、今でも私が仕事を進め方るときの基本となっています。
- 必要工数とかかる時間を設定し、計画的に仕事する
- プライオリティの高い仕事を選択し、自ら締め切りを決めて追い込む
- 真に使える時間は30%と見積もる
- 「拙速」を旨とする
- 「口頭」より「文書」のほうが早い
- 書類は使った順に整理
- スケジュールの中に自分へのアポイントを入れ、誰にも邪魔されない時間を確保する
- 「隙間時間」を使い切る
- 体を壊すので、「無理」はしない
- 長時間労働は「プロ意識」と「羞恥心」の欠如
家族のケアのための時間を確保しながら、仕事でも成果をしっかり出したい人は、佐々木さんの一連の書籍をご一読することをオススメします。
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