【塩屋埼灯台を望む 2011年5月】
東日本大震災から9年。あの時、感じた気持ちを忘れず、精一杯生きたいと改めて思い返しています。
あの日も夜遅くまで残業していた
東日本大震災が起きたとき、あなたはどこで何をしていましたか。
私は、富山にUターンして編集プロダクションに勤務して4年目。育児情報誌の編集長となり、県や教育委員会が発行する印刷物の編集を担当するなど、忙しい日々を過ごしていました。
子どもたちは、3歳、7歳、9歳。毎週金曜日は子どもたちは夜ふかし。私は21時で仕事は切り上げ、カーラジオで「国分太一のレディオボックス」を聞きながら、途中お菓子を買って22時ごろ帰宅して、週末の夜をおしゃべりして過ごすのが恒例でした。
2011年の3月11日も金曜日。子どもたちが起きている間に帰宅しようと、大急ぎで働いていた14時46分、地震の少ない富山では珍しくグラグラと揺れる地震がありました。「キャ」と声を上げる人もいたくらい揺れました。
社内のテレビをつけると、津波の映像が「LIVE」の文字とともに映し出されていました。
流されていく家々や自動車の中に、「人」がいることに気づき、はっとしました。
姉が住む福島県郡山市にほど近い福島第一原子力発電所で、事故が起こったことも報じられました。
しかしまだ、それほどの大ごとだとはみんな理解していませんでした。
夕方帰社した仕事仲間は「あれ? チェルノブイリみたいっていってたかと思ったら、ぜんぜんじゃん。つまらん」なんて軽口を叩いていたくらいです。そんな冗談が言えるくらいの認識でした。
しかし、姉に電話は通じません。メールも帰ってきません。
そんな状況でしたが、私はその日、21時すぎまで残業しました。
両親や子どもたちも、さぞ不安だろうと早く帰りたかったのですが、日中に中断したこともあり、その日予定していた仕事が終わらなかったからです。
帰り道のラジオは、レディオボックスではありませんでした。
夜になって真っ暗な町のあちこちで火事がおこり、学校の屋上には多くの人が取り残されていることが、日本語と英語などの外国語で伝えられていました。
暗い道を一刻も早く帰りたい。子どもたちの顔がみたいと、心細かったのを覚えています。
多くの人がたくさんのものを失った
多くの方が突然、「未来」を失いました。「日常」を失いました。
叶えたい夢もあったことでしょう。大事な人が突然いなくなってしまって、残された人の悲しみはいかばかりか、想像もできません。
私はこのとき、「いつか」なんていっていたら、「いつか」は来ないかもしれないと実感しました。
「いつか」時間ができたら、アレをやろう、こんなふうに過ごそう…なんて考えていても、そんなときは来ないかもしれません。
生きている人は毎日を幸せに生きよう
私たちは、多くの人が生きたかった未来を生きています。これで、くだくだ文句を言っていたらバチが当たります。明石家さんまさんの言葉「生きいるだけで丸儲け」は真理です。
生きたかった人の分まで、充実した人生を送ろう。大事な人と一緒に過ごすことを優先しよう。夢はさっさと叶えよう…と私は心に刻みました。
それから私は「子どもが大きくなったら、いつか」と考えていたトライアスロン再開を決めました。
当時は会社が家から23キロほど離れていました。何かあったら子どもたちの元に走って帰れるくらいの体力がほしいと思いました。
東北で子どもの食糧も求めて何十キロもパンクした自転車で走った母親のことをニュースで見ました。子どもが津波にのまれたら、飛び込んででも助けたいと感じました。
母は強くなくてはならない。
そう心に刻みました。
当時はたまにジョギングをするくらいしか運動はしていません。100メートルくらいしか泳げず、バイクには10年乗っていませんでした。
しかし、同年7月のトライアスロンの大会にエントリーしました。
また、大事故でも残業していた自分を反省し、在宅勤務できるように職場の体制を整えたり、自分も在宅やフレックスを利用して、働くようにしました。
大事な子どもたちと過ごす時間は、優先的に確保しようという考えからです。
そして、会いたい人とは「いつか」ではなく、会う約束をするようにしました。
行きたいところには、気兼ねしそうでも、ドキドキしても行くことにしました。
挑戦することが怖くなるような難しそうなことにも、トライすることにしました。
そうした心がけを実行することは、ときには困難なこと、逃げたくなったこともありますが、そんなときは震災で亡くなったたくさんの命のことを思います。
あなた方の分まで精一杯生きます。生きることを味わい尽くし、新しい命を育み、悔いのない人生を送ります。
多くの方々の魂がどうか安らかでありますように。
【いわき市を歩く娘 2011年5月】
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