商品・サービスの価値を訴えるときに、「希少性」があるならぜひ伝え、その価値に気づいてもらいましょう。
希少性の原理
「希少」とは、「ごく珍しいほど、少ししかないこと」。「希少性の原理」とは、ある商品やサービスについて、「人が欲している量(=需要)」に比べて、提供できる量(=供給)が少ないときに、そのものの価値が高くなったり、高く感じられる心理的現象のことをいいます。
「今、手に入れなかったら、2度とは手に入れることができないかもしれない」と思うと、つい買ってしまうとか、たらこよりキャビアが高い(美味しさは冷静に考えると、値段ほどの差はありませんよね)とか、思い出してもらうと、わかりやすいと思います。
「希少性」には、人間の味覚も変えてしまうほどの威力があるといえるでしょう。
希少性をもたらす限定要素
希少性の元となる「〇〇限定」には、いろいろな要素があります。例えば……
- 数量
- 期間
- 場所
- 対象
- 特典
といったものです。
これらが限定的だと、人は希少性を感じて、価値が高いあるいは良い、美味しいなど、プラス評価をする傾向が高くなります。
限定要素いっぱいのモンブラン1400円
事例をひとつご紹介しましょう。
先日、京都で訪れた「マールブランシュ」の京都北山本店で、本店サロン限定のケーキをいただきました。
その名も「モンブラン・オートクチュール」。北山本店限定で、税込¥1,430(本体価格¥1,300)です。
注文すると、まずテーブルに運ばれてきたのは、白いかまぼこ状のケーキ。
これは、バニラ風味のムースグラッセ(ムースを凍らせたアイス)です。
ここで,ラム酒を3種類の中から好みものを選びます。お酒が苦手な人には、ノンアルコールのシロップも選べます。
そのラム酒またはシロップをきざんだ栗に絡めます。
その栗をアイスの周りに添え、マロンクリームをその場でたっぷりとしぼりだしました。
さらに、「モンブランは雪山なので、雪に見立てた粉糖で仕上げます」と、出来上がりです!
ここでは、本店「限定」である上、自分が選んだラム酒で自分「だけ」のために作ってくれる…と限定性のダメ押しです。
また、栗にラム酒やシロップをまとわせている間に、「観光ですか?」など、さりげなく会話が生まれます。
こうしたスタッフさんとのコミュニケーションがさらに自分「だけ」の体験となり、ファンづくりに一役かっていることも、容易に想像できます。
もうひとついただいたのも、本店「限定」のケーキです。
こちらは、「葡萄とマロンの秋色モンブラン」。栗のクリームの中には、ラムレーズンとパルフェグラッセ(濃厚アイス)が入っており、北山本店限定。価格は、税込¥1,430(本体価格¥1,300)です。
こちらにはさらに、「期間」の限定性がプラスされています。「9月中旬〜10月中旬」しか、提供しないそうです。
お味のほうは、正直にいうと、モンブランとぶどうは別々に盛り付けてあったほうがいいかな?とも感じましたが、見た目の華やかさが素晴らしいですね。
ふたつのモンブランは実際のところ美味しい。とはいえ、価格も普通のモンブランよりかなり高い。
それでも食べたいという気にさせらたのは、「本店限定」「今だけ」「京都に来たときだけ」「『たまの』旅行なんだからちょっと奮発」などなど、いくつもの「限定」が重なったからだと思います。
この限定感・希少性からも、モンブランがさらに美味しく感じられました。
スタッフの方々の接遇も気持ちがよく、とてもいい時間を過ごすことができました。
嘘のない十分な説明が必要
希少性を感じてもらうために必要なことは、当たり前のようですが、「その理由」を十分に説明して理解してもらうことです。
限定性は、黙っていても分かりません。
日本人は奥ゆかしい上、自分が普段やっていることは当たり前になりがちなので、自分の商品・サービスに気づきにくい傾向があります。
反対のマズイ見せ方は、「いつでもこの商品を買うことができますよ」という見せ方です。
便利なようですが、「それならまた今度にします」となりがちです。
また、嘘やおおげさ、「いつも『閉店前セール』の看板」などは、信用をなくし逆効果です。
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