先日、「出生数90万人割れへ 19年、推計より2年早く」というニュースが発表され、これに反応して日本での子供の生みづらさを嘆く声が目に付きました。しかし、親業と仕事の両立は、工夫すればなんとかできることもあると考えています。
出生数90万人割れへ
今回発表されたのは、日本の出生数です。
1~7月は前年同期に比べて5.9%減り、30年ぶりの減少ペースとなった。団塊ジュニア世代が40代後半になり、出産期の女性が減ったことが大きい。2016年に100万人を下回ってからわずか3年で、19年は90万人を割る可能性が高い。(中略)合計特殊出生率は18年に1.42と、3年続けて下がった。結婚して子どもを産みたいと考える人の希望がかなった場合の値は1.8で、理想と実態の差は大きい。(中略) 出生数を回復するためには、若い女性が出産しやすい環境づくりが課題だ。(中略)正社員の終身雇用が多い日本の労働慣行では、出産や育児で休職するとキャリアが積み上がらず、仕事上の不利になりやすい。
(出典:日本経済新聞)
ツイッターのトレンドにも「出生数90万人割れ」が入り、これを受けて「自分が生きるだけで精一杯の給料しかもらえない」「産むのも育てるにもお金がかかるのに、子供が生まれてからは働きにくくなるのだから当然」などのツイートが目につきました。
今の社会では当然?
ちなみに、記事の中にでてくる「団塊ジュニア世代が40代後半」とは私のこと(1974年うまれ)。
私ひとりのこれまでの経験に鑑みても、「子供を生みたくない」となるのは、当然と感じます。いろんなことがありましたよ……。
- 新卒時、銀行に入社した友達(女性)は、「結婚したら辞める」という誓約書を書かされていました。
- 働いてからは「これだから女は役たたず」などと言われたり、「おっぱい」というあだ名をつけられ、大声で呼ばれたり。ストレスで生理が止まりました。
- 妊娠を報告したら、総合職から一般職への変更を勧められました。しっかり育児できるようにという気遣いからです。
- 赤ん坊づれで出かければ、バスには乗車拒否。カフェでは雰囲気台無しと舌打ちされ、ご飯屋さんで赤ん坊がうるさいと追い出されました。
- 保育園に入れないので、空きのある保育園を求めて、数回引っ越しまでしました。貯金は引っ越し費用に消えました。
- 子供の病欠で有給は使い切り、減給になりました。
- ワンオペ育児でフラフラでしたが、夫は仕事山積みで毎日、夜中に帰宅。
- 2人目育休中の妻がいても、夫は転勤を命じられました。夫に育児をするな、または私に退職しろということですね(私が退職しました)。
- ママ仲間の中には、「誰に食わせてもらっているんだ」と夫に暴力を振るわれているママ、避妊をせずに襲ってくるのに子供ができたら「お前が勝手に妊娠して」と責める夫をもつママ、子供ができてから思うように働けなくなり夫から「お前のせいで金がない」となじられるママもいました。彼女らは、離婚して実家に戻りたいけれど、両親も経済的に苦しいから無理と悩んでいました。
- 子供が大きくなってからも不登校などの問題が起これば、突発的な学校対応や子供への向き合い時間確保が母親に求められました。一方、「母親が仕事してきたから子供が心を病む」とか「仕事を投げ出して無責任」などの非難する人もいました。
- 令和元年に「妊娠したら辞めないといけない会社なので」と、退職した妊婦さんに出会いました(そんな会社はもう日本にないはずなのですが)。
- 少子化が問題というわりには、3人生んだ私がそのおかげで何か優遇されたなどの実感がありません。
残念なことに、子供をもってよかったと考え、子供たちにそう伝えている私ですら、娘は「お母さんを見ていると、仕事に家のことにと、すごく大変そう。自分にできる気がしない」と言います。
そりゃあ、みんな、生みたくなくなるだろうなあと思います。
試行錯誤の末の「理想の職場」
これまでのワーキングマザー歴18年で、社会環境については「そりゃ生みたくなくて当然だわ」と考える私ですが、それでも子供がほしいと考えていました。今も子供のいる生活を楽しんでいます。
なぜかしら?と改めて考えていました。
私は、自身の生い立ちとともに、自分の生きやすい環境やライフスタイルに合った職場をつくってきたことが大きかったからではないかと感じています。
生い立ちというのは、きょうだいや両親、祖父母やおじおばたちと比較的仲がよく、「家族をもつ」ことへのイメージがよかったことです。
あくまで経験則ですが、幼少期の家庭環境が寂しかった方は、家族を持つことに対して「自分のお金がとられる」といったネガティブなイメージをもつ傾向を感じます。
その点、私は「家族が増える」ことと「幸福」のイメージが結びついていました(このことが、社会人になってから、子供を生むたびさまざまな状況がキツくなる「現実」とのギャップも生んだわけですが)。
「生きやすい環境やライフスタイルに合った職場をつくる」ことについては、夫婦二人だけ、子どもの人数・年齢、居住地、祖父母の状況などの環境によって、正社員・派遣社員・在宅ライター、在宅OKの正社員など、働き方や職種、働く時間帯などをその時々の状況でできるベストの体制になるよう工夫しました。
ここまでの経験からの結論は、子育てと仕事と家族との幸福を全部取りするカギは以下の3点と考えています。
- 働く時間と場所の自由度をもたせる
- たくさんの大人が協力して子供を育てる
- 大人と子供、高齢者など、多様な人たちが混ざってすごす(→働く場と暮らす場をミックスさせる)
中でも大事なのは、1と2です(「0」としては「家族観の合うパートナーをもつ」ですね)。
さらに3を加えることで、やるべきことを最適な時間に、最適な人ができるようになり、時間の節約に繋がります。
職種によっては、時間と勤務地の融通がきかないことがありますが、その場合は、「人」を融通することで解決できると考えています(それはまた別の機会に詳しく紹介します)。
そんなことを考えた結果、今の「職場」はこんな条件です。求人募集風に書いてみました。
職種:編集・企画・コンサルタント・講師・ひとり社長
仕事内容:編集・ライター業務、コンサルティング、セミナー講師、講演、ブログ・メルマガ執筆・不動産管理・経理業務など
勤務地:富山県射水市(通勤不要、転勤なし)
年齢:不問
必要資格 :自動車免許
職務経験 :不問
求めるスキル:ライティングスキル、セミナー講師ができる、PCが普通レベルで使える
給与:未定(贅沢せずに暮らせる程度。業績により昇給あり)
賞与:なし
勤務時間:原則8時~18時の中で、自由に設定(フレックス)
休日: 土・日・祝日(勤務の場合は、平日に振替可能)、夏季・年末年始・慶弔・生理・看護・介護・リフレッシュ休暇
待遇:社保完備、PC・交通費・研修費・図書費支給、キッチン・昼寝用ベッド完備、完全禁煙、服装自由、フリードリンクあり
定年:なし
給料が不安定なのがネックかもしれませんが、「どんな職場にも『安定』はない」と私は考えているので、そこはまあ許与範囲です。
なければ自分で職場をつくってしのぐ
先週は金曜日の昼頃から、子供の用事につきあって京都に行ってきました。
上記のような条件の職場なので、京都でも早朝や日中に仕事や情報収集ができました。
このようなカタチで働ければ、子供の用事などにも、比較的無理なく対応できます。
これが、職場によっては、何ヶ月も前から周りのスタッフや職場の業務の回り方に気を使いながら、有給の申請を出しる必要があったり、さらには「忙しいからだめ」などと却下されることもありますよね(だから、例え仕事の能力があったとしても、家庭もちの女性は私生活と仕事の両立が難しくなるのです)。
社会全体としては、出産や育児による休職がキャリアの断絶にならないこと、育児を母親だけでなく社会全体の課題とすること、男性の労働時間短縮など、社会の体制と空気の変化が必要であると強く感じます。
ただし、その変化を待ちきれないのが私たちのような子育て真っ最中の親です。
私たちや、まもなく子供がほしい方は、社会の変化を待たずに、自力でなんとかしのがなくてはなりません。
もちろん働きやすい職場が見つかれば問題ありませんが、それが難しければ、「自分で自分の理想の職場をつくることができないか?」と、自問してみましょう。
「 叩けよさらば開かれん」という言葉もあります。無理だと考えていたことも意外に、なにかしらの道が見つかるかもしれません。
お互い、がんばりましょう!
私、林原と一緒に仕事する仲間も募っております。
「情報発信とブランディングのサポートで、富山の中小企業と素敵なひとたちを応援したい」「ワーキングマザーが心身ともに健やかに、仕事と育児に取り組み、豊かに楽しく生きるられる世の中をつくりたい」
「富山を次世代が住みたい、働きたい場所にしたい」
といった志を同じくするライター・デザイナー・校正者・編集者といった職種の方、それ以外の職種の方でも一緒に何かやってみたい方、ご連絡お待ちしております。
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ここだけに掲載している林原りかの「自分史的自己紹介」をお届け後、言葉やブランディングで、ビジネスと人生を充実させるヒントをお伝えしています。返信もOK!