商売をしていると、お客さまがいれば、自分が客になるときもあります。いずれの立場でも、「お客さまは神さまです」とは思っていないなあ……と、とあるバーで考えていました。
「Bar学校」のトイレの張り紙に共感
そのBarとは、先日連れて行ってもらった「Bar学校」というバーです。
お手洗いに、節度をもって飲むことなど、お店でのマナー向上を呼びかける張り紙が張ってありました。
その中に「お客様は神様ではありません」の文言をみつけました。私も同感です。
三波春夫さんの「お客様は神様です」の意味
「お客様は神様です」といえば、歌手の故・三波春夫さんの言葉です。
三波春夫さんの公式ホームページでは、この言葉の誤用について書かれています。
このフレーズが真意と離れて使われる時には、例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」と、いう風になるようです。
そして、店員さんは「お客様は神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合。
俗に言う“クレーマー”には恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです。
三波春夫さんは本来、以下のような意味で「お客様は神様です」とおっしゃっていたそう。
歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。
ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。
「お客様は神様です」は、「客の要望はなんでも従いなさい」という意味ではありませんでした。
客は「専門家の力を借りる」人
編集者でありブランドプロデュースを手がける私が、客の立場になる相手には、いろんな職種の専門家がいます。
ライター、グラフィックデザイナー、イラストレーター、フォトグラファー、WEBデザイナー、校閲者、校正者、印刷会社などなど。
そうした方々に仕事の依頼をするときの私は、自分の出来ないことを専門家に依頼する立場です。とても「客は神さまなんだから、言うことききなさい」とは思えません。
その専門家たちの力を十分に発揮してもらうために、ふさわしい報酬とゆとりあるスケジュール管理を心がけています。
飲食店などの客になるときも、基本的にプロに頼らせていただく方針です。
お客さまは神さま扱いしない
反対に、お客さまにサービスをご提供する場合も、「お客さまを神さまのように崇め、なんでも指示にしたがいます」とはしていません。
お客さまが必要としているのは、プロの知見とスキルと、例え耳の痛いことでも忠告する誠実さであって、なんでもいうことを聴くイエスマンではないからです。
いい関係でいい仕事をしたいとき
お客さまや仕事仲間と良い関係性で、いい仕事をしていくには、どちらかが「神さま」になるのではなく、どちらも人間(あるいは、どちらも神さま)として、互いにリスペクトしたほうがうまくいきます。
そうならない相手なら、「どちらが悪いわけではない、合わないだけなんだ」と捉え、無理に合わせず別の相手をさがしてはいかがでしょうか。
bar学校について
ちなみに、いさぎよいトイレの張り紙がかっこいいBar学校の場所はこちら。
移転前の住所がネット上には残っているので注意してくださいね。
おまけに、グーグルマップでは、すぐ近くの民家に誘導されました。
本当は、そのお宅に近くの角にある「西岡ビル」という茶色のビルの2階です。1階は、リペア・クラブ(REPAIR・CLUB)という靴修理さん。
なお、こちらがBar学校の「校則」です。
このように店の方針をはっきりうちだすことで、店に合ったお客を引き寄せる効果がありますね。
なお、こんなメニューもあります。さすがは「学校」。
生ビールはキリン一番搾り。
何度かにわけてつぎ、気泡の大きな「カニ泡」をスプーンで取り除きながら(プロのひと手間ですね)、きめ細やかな泡のビールをご提供くださいました。
お店まで伺う甲斐のある、とても美味しいビールです。
ご馳走さまでした!
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