「お客様がしたいことを叶える」「子供が喜ぶから」など、「○○がしたいというから」と安直に受け入れないよう気をつけています。
「○○がしたいというから」は責任転嫁
何かをする時に、「相手が○○したいと言ったから」と理由付けるのは簡単です。
なぜなら、そこに自分の判断や意見を挟む余地があることを棚上げし、その結果を相手だけのせいにできるからです。
そこで、お客様とプロとして関わるときにはとくに「お客様が○○したいと言った」を安易に鵜呑みにしないようにしています。
例えば、制作物のデザイン見本を見てお客様が、
「この文字をもっと太くして」
とおっしゃったとしましょう。
なにも聴かずに指示の通り「もっと太くする」ことは簡単です。しかし、こういう修正は、デザインのバランスが崩れたり、「うーん、なんか違う」などいつまでも決まらないなど、不都合につながることが多いのです。
そこで、発言の意図を確認すると、その真意は
「その文字で伝えている内容をもっと目立たせたい」
だったりします。
この意図を叶える場合は、「文字を太くする」意外にも……
- その文字の色を変える
- その文字のフォントを変える
- 周りの文字を小さくする
- 周りの文字色を薄くする
- 周りの文字フォントを変える
- 該当の文字と周りの画像や文字などとの間に余白をもっととる
- その文言を何度も繰り返す
などなど、たくさんの対応方法があります。
その中から、編集意図や読者対象の好みや視認性、デザインのバランスなどを考慮してベストの方法を選び、お客様の本当の意図を叶えます。
この事例のように、お客様だけでは思いつかない方法、お客様が知らない方法をご提案できるのが、プロを活用するメリットです。
「お客様のやりたいことを実現します」はいいけれど
一方、こんな仕事ぶりを見たこともあります。
あるディレクターさんは、「お客様のやりたいことを実現します」がモットーです。
もちろん、それはいいのですが、「お客様の希望第一」と、言われたままに、制作物を作ったり、制作を進めたりします。
すると、マーケティング計画もなしに、使うあてのない販促物を無計画に作ったり、その後の変更事項を直せず使えない販促物が出てきたりと、たくさんの無駄な作業と費用が生じていました。
ブランディングの検討もせずに、お客様から言われた通りに、あれこれと修正していくので、デザインのテイストはばらばらです。
そうして、そのお客様の無計画さやデザインセンスのなさを嘆いていらっしゃいました。
編集やデザインやライティング、ブランディングやマーケティングなど、お客様の「プロではない部分」を補うのがその分野のプロがやるべきことです。
プロとしての判断や提案は、ときにはお客様の考えと違うこともあります。手間も時間もかかる上、嫌な顔をされるかもしれないリスクも伴います。
しかし、プロとしての知識と経験に基づき、高い視点と広い視野で「これがいい」と提案できるのが、プロのいる意味です。
「子供が喜ぶから」も曲者
とはいえ、私も子供たちに対してはしばしば失敗します。
たとえばこんなことがありました。
子どもたちは、春巻きなど、ハイカロリーなものをどっさり食べるような夕飯を喜びます。
「お母さんの春巻きは最高!」
「美味しいものでお腹が一杯って、幸せ」
と娘たちは満面の笑みを浮かべます。「また作って」ねだります。
こういう顔を見ている時は、母親として大変幸せです。相手の役に立っているような貢献感や自己重要感も高まります。
しかし、「子供が食べたいというから」と子供の希望を根拠として、美味しいものでお腹を膨らませてあげるのは、本当に娘のためでしょうか。
実際、年頃になった娘たちは、現在の体型がセルフイメージよりも少しふっくらとしていることを気にするようになりました。
そこで先日からは、栄養は満たしつつカロリーをセーブできるよう、食事量を調節することにしました。
最初は「少ない」「物足りない」としょんぼり。子供のそんな顔を見ているのは切ないものです。
しかし、その後、体脂肪率の数値が下がっていくことを体験し、「やればできるんだ」という自信につながってきたようです。
目先の「満腹の笑顔」を叶えるだけでいいのか、「自分の理想にフィットした体型を手に入れる」という長期的な目標を叶えるのか。
「どちらが相手のためになるのか?」と、改めて考えさせられました。
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ここだけに掲載している林原りかの「自分史的自己紹介」をお届け後、言葉やブランディングで、ビジネスと人生を充実させるヒントをお伝えしています。返信もOK!