重い&辛い生理は大会や旅行など大事なイベントとずらしたい! 低用量ピル「ヤーズフレックス配合錠」を使ってみました

女性がスポーツを楽しんだり、競技に打ち込んだりするときはもとより、普段の生活や仕事にも何かと差し障りになることに「生理」があります。
これまで何かと生理には苦い思い出があり、低用量ピルによる生理時期のコントロールにトライすることにしました。

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【「あの試合、生理じゃなかったらメダル取れたかもしれない」のコピーが印象的な産婦人科学のポスター】

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目次

試して実感「頼りきれないが、安心材料にはなる」

まず、経緯や詳細よりも、低用量ピルが良かったか悪かったかを知りたい…という、今まさに切羽詰まって苦しんでらっしゃる方のために、結論からお伝えします。

私が使った実感は、よかったということ。ただし、最初は「生理を100%ずらせるわけでもない」ではありませんでした。

ただ、生理がすごくしんどい方には、ひとつの選択肢になるものだと思います。調べてみる価値、使ってみる価値はあると思います。

では、使いたいと感じた方へ

日本で低用量ピルを入手するには、産婦人科医の処方が必要です。産婦人科を受診して、

「生理のときに体調があまりにも悪いので、低用量ピルの使用を考えている」

と相談してみてください。あとは、医師の先生がアドバイスしてくださいますよ。しんどい思いから解放されることをお祈りしています。

……というわけで、以下ではゆっくりと読める方のために、私がピル使用にいたるまでの経緯や使ってみた感想をご紹介します。

中学生時代から始まった生理とのせつない関係

なぜ、私が低用量ピルを使ってみようと考えたかをご説明します。

それは、生理から起こる体調不良や経血の漏れに、努力や準備を台無しにされたくない。というのがその理由です。

器械体操部で冷やかされるのが怖かった中学生時代

私と生理との付き合いは、中学生の頃から始まります。当時私は器械体操部に所属していました。

器械体操といえば、レオタードです。レオタードは生理用ショーツやナプキンが透けたり、はみ出したりすることがあります。

器械体操は足を大きく広げる動作も多いため、生理中ははみ出さないか漏れないかなどが気になり練習や競技に集中できません。

男子から「見えた」と冷やかされたチームメイトもいました。多感なお年頃にはキツイ出来事です。

授業中に大決壊を起こした高校生時代

高校生時代の忘れられない思い出があります。

それは生理2日目のこと。その日はとても経血の量が多く、授業一コマ分、ナプキンが持ちませんでした。

それも、移動教室で他の男子の席に座っていたときのことです。

男子生徒の椅子に経血をべったりとつけてしまい、休み時間にその男子にはこっそり事情を説明して、椅子を洗わせてもらいました。高校生ともなると男子も大人で、事情を理解してくれました。

自分のスカートは血がついたままですが、紺色の制服なので周りにはバレずにすみました。保健室に制服のスカートの替えを借りにいったところ、顔も白く体調も悪かったため、即早退になりました。

体調不良よりも、男子の前での経血の大漏れや血で濡れたスカートのまま保健室に向かうのが、本当に恥ずかしく辛かった思い出です。

プレゼンや旅行なども生理とぶつかると大変

20代のころは特に量が落ち着かず、生理中は外出するのが大変でした。夜も不安なので、おねしょシーツを敷いていたこともあります。

社会人になってからも、長時間の会議やプレゼン、研修などの仕事や旅行などは、生理とぶつかるとこまめにトイレにいけなず本当に困ります。

いつの時期に生理になるか予測できる方はまだいい方ですが、月経不順の方は生理がいついきなり始まるか予測もしにくい。

男性の方は下痢に置き換えていただけば想像しやすいと思います。会社でいきなりもれたとしたら……生理中の女性が平静でいられない気持ちもご理解いただけますよね。

私の場合、生理がくると腹痛や腰痛、冷えがひどくなります。生理期間中は、下半身をこたつなどで温めながらなるべくおとなしくしていたい。生理休暇制度が始まったときは、そりゃ必要だよなと納得したものです。

1ヶ月に1回、1週間近くそんな期間があれば、無理して頑張らないと生産性にムラが出てしまします。

そう、生理中はずっと「辛いけど無理している」状態です。

大会やスポーツイベントが生理だと楽しくない

そんなしんどい生理が、何ヶ月も前から練習して、ピークを合わせて望むマラソンやトライアスロンなどの大会とぶつかると、本当に泣きたくなります。

例えば、これは2012年7月15日のトライアスロン海老江ゴール後の写真。

着替える前に、ノンアルコールのオールフリーで給水中なわけですが、腰にフィニッシャータオルを巻いております。

そう、実はこの日は生理中。トライアスロンではスイムがあるためナプキンNG。タンポンのみで望んだところ、ランの最中にもれてきてしまいました。

走っている間、給水のたびに足元に水をかけて経血を流していました。で、走り終わったら、きつくて立てず着替えに行けないという状態です。

また、これは、2017年6月4日のグランフォンド富山。走行リーダーとして参加させていただきました。

なぜ、背中にリュックをしょっているかというと、ナプキンが入っているからです。前日に生理が始まり、この日は2日目。体調は最低でした。ちなみに、この場所はトイレの前です。

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こちらは2018年4月22日のしんろうマラソン(ハーフ)。

このときも生理2日目です。量も生理痛もひどく、タンポン&ナプキンのほか、痛み止めの「ケロリン」もポシェットに入れての大会となりました。

お腹が痛くて、途中で痛み止めを飲みました。

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大会が生理と重なるとほんとにさんざん。女性にとって生理中に体調がしんどくて漏れると大変なのは、仕事や家事育児のときだって同様です。なんで女ばっかり……と、ずっと感じていました。

そんなとき思い出したのが、元なでしこジャパンの澤穂希さんのニュースです。

澤穂希さんが低用量ピルの服用を公表

そのニュースとは2017年12月、W杯優勝を成し遂げた「なでしこジャパン」のキャプテンとして活躍した澤穂希さんが低用量ピルの服用を公表したことです。

そのことを紹介した記事によると、生理が試合日と重ならないように生理周期をコントロールしたり、生理による鉄分不足(貧血の原因)を防いだりしていたとか。

「サッカーの技術不足や試合前の緊張は本人の努力次第ですが、月経周期や生理痛は努力や根性では克服できない」

とコメントされていました。そうなんです。生理痛や生理時の倦怠感は、努力でも根性でもどうにもなりません。

私自身の生理由来のしんどさを楽にしたいということに加え、娘たちに同じような苦労や恥ずかしさを味あわせたくないとも感じます。

これを低用量ピルで解決できるのでは?と感じた一方、安全快適に利用できるものなのだろうか……と疑問も生じます。

そこで、まずは自分が、低用量ピルを試してみることにしました。

低用量ピルの効果は避妊だけじゃない

使って見る前に、まずは低用量ピルとは何かを確認しておきましょう。

ピルといえば「避妊」を連想する方も多いと思いますが、なぜスポーツなどのパフォーマンス向上につながるのでしょうか。

ピルには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という、女性ホルモンに似た成分が2種類含まれています。

ピルを飲むと、女性ホルモンが分泌されているのと同じような状態になり、この状態がさまざまな効果をもたらすのです。

避妊は、以下のような仕組みからです。

  • 月経周期をコントロールできる→排卵の時期がわかる
  • 子宮内膜が厚くなるのを抑える→受精卵を着床しにくくする
  • 子宮頚管粘液を変化→精子が子宮内に侵入するのを妨ぐ

今回注目しているのは、女性ホルモンの分泌が続くことから得られる以下のような効果です。

  • 月経周期がコントロールできる→いつやってくるか分からなない「月経不順」が解消
  • 生理常に女性ホルモンのバランスを一定に保つことができる→月経前症候群(PMS)の症状が軽くなる※PMSとは、月経前の3~10日間続く精神的あるいは身体的症状です。イライラや頭痛、腹痛や腰痛や眠気、倦怠感などが現れ、生理が始まると楽になります。この症状は5から8割近くの女性が体験しているそう
  • 子宮内膜の増殖が抑えられる→月経痛が弱くなり、月経量が少なくなる

ということで、低用量ピルは避妊目的だけでなく、月経困難症や子宮内膜症に対する治療薬としても活用されています。

私の低用量ピル体験記

産婦人科を受診

といっても、日本では利用している人がまだまだ少ない低用量ピル。まずは産婦人科で相談するところから始まりました。

低用量ピルはドラッグストアで購入できる国も多いのですが、日本では医師の処方が必要です。

私のようなアマチュアのスポーツ愛好家が「大会や普段の生活で生理が辛い」という理由で処方してもらえるか不安はありました。

しかし、「日常生活に差し支えるほど生理の症状が辛い」という場合は、十分処方の対象になるとのことでした。

そういえば、風邪薬や気道過敏症の薬も、症状が辛いからその症状を抑える薬を処方してもらうわけでですから、生理の辛い症状を抑えるのも、理屈は同じことですね。

診察していただいた女医さんも、低用量ピルをずっと使っているそうで、低用量ピルへの特別感や不安感が軽減されました。

なお、生理時に体調不良がなく、純粋に避妊が目的で低用量ピルを求める場合は、保険適応外とのことでした。

ヤーズフレックス配合錠を処方

私が処方していただいたのは、「ヤーズフレックス配合錠」というお薬です。

ヤーズフレックス配合錠は、卵胞ホルモンと黄体ホルモン配合されています。副作用を軽減するために卵胞ホルモンの含有量が抑えられており「超低用量」と呼ばれるジャンルだそうです。国内で初めて連続服用が認められました。

連続服用とはどういうことかというと、これまでの低用量ピルは、28日飲んで1回休薬して月経を起こすという使い方でした。

一般的によく紹介される生理日をずらす使い方は、生理開始予定日の5日前から飲み始め、飲むのを止めたところで、生理が始まる…という方法です。

一方、ヤーズフレックスは、最長120日まで服用でき、その間は生理をお休みすることができます。理論上は年に3回しか生理を起こさないことも可能ということですね。ほんとかなあと、半信半疑で処方された薬を持ち帰りました。

値段は正確記録を取り忘れたのですが、3ヶ月分で8000~9000円程度(保険適用、病院によって価格は異なります)でした。

ヤーズフレックス配合錠の飲み方

ヤーズフレックス配合錠の使い方をご紹介します。

初めて飲む人は、「月経がはじまった日」が飲み始めの日。毎日なるべく同じ時刻に1錠飲みます。

  • 服用開始から24日間は、出血の有無にかかわらず服用を続けます。
  • 服用25日目以降、連続3日間の出血があった場合は、その翌日から4日間休薬します。
  • 120日間連続して服用した後は、4日間休薬します。

というのが基本的なルールです。

飲み忘れは気づいたところで前の日の分を飲み、いつもの時刻から服用を再開します。こんなに簡単に生理日がコントロールできることに驚きました。

 

大会を避けたい私の生理日計画

私の予定は、2018年7月8日ののとじまトライアスロンと9月2日の佐渡国際トライアスロンから生理を避けることでした。

最初に相談したのは、2018年の2月のことでした。冒頭でも紹介したこのポスターを見かけたのがきっかけです。

「あのとき生理じゃなければ…」のコピーが響き、私のようなアマチュアでもよいか、仕事など日常生活の不調改善でもよいかを質問したのです。

その答えは先に紹介したとおりOKでしたが、3月には海外旅行を控えていたため、万一に備え4月以降から飲んでみようという話をしていまいした。

その話をそのまま忘れていたところに、4月23日のしんきろうマラソンでまさかの生理2日目です。

大会と生理はやっぱりぶつけたくない。と骨身にしみた私は、5月18日に産婦人科を受診し、ヤーズフレックスを処方してもらいました。

その月の生理が始まったのは5月26日の夜で、翌27日の朝からヤーズフレックスを飲み始めました。

出血は結局予想できない

ヤーズフレックスの服用を続けていた6月13日に変化がありました。

飲み始めて18日しかたっていないのに、この日から少量の出血が続きました。「出血の有無にかかわらず服用を続ける」とあったので、服用を続けましたが出血がだらだら続きます。

結局ナプキンが欠かせず、これではちっとも楽じゃない。

そこで6月21日に再度受診しました。このまま服用を続けられるか質問したところ、開始から25日すぎたところで1回休もうとなりました。

そこで土日の予定を終えた6月24日(日)からストップ。すると6月26日から28日は量が少し増えて生理らしくなりました。

前回の生理は5月26日日だったので、なんのことはない、ずらせていません……というか、13日から28日まで2週間以上ナプキンとお付き合いです。むしろ長いし。

「軽い」「少ない」「楽」にはなった

出血期間が長いとはいえ、量は少なく生理痛はなく、とても楽にはなりました。

ヤーズフレックスのサイトでも、飲み始めてから最初の1~2ヵ月間は、不正出血が起こりやすいことは記載されています。

というわけで、6月28日から服薬を再開しました。

ずらせない、ずらせるはそのとき勝負?

ところが、服用を続けているにもかかわらず29日目の7月26日からまた出血が始まりました。で、また休薬と再開。なんでずらせないんだろう?と疑問が募ります。

しかし、8月は決められたとおりに服用を続けたところ、月末になっても出血はなし。やった!

そのまま9月2日のトライアスロンを無事のりきり、5日6日の東京出張や7日の会食、12日の運動会などもやり過ごしてから服用を止め、9月14日から生理をはじめました。

ここでやっと、使いこなせた感じです。

副作用の実感は今のところなし

人間の体は理論通りにはいかないのか、年3回の生理……とはならないようですね。

飲み始めてから最初の1~2ヵ月間は、特に不正出血が起こりやすいようです。

なので、もしも使用を考えている場合は、避けたい日の前にいきなり始めるのではなく、数ヶ月前から慣れておくといいと思います。

また、頭痛や吐き気もマイナートラブルとして紹介されています。これは、私は感じませんでしたが、注意しておきたいですね。

太りやすくなると聴きますが、これも私はありませんでした。

そのほか、気をつけるべき副作用は、血のかたまりが血管につまる血栓症です。これを防ぐため、脱水を起こさないよう多めに水分をとるよう、お医者さまから注意をうけていました。今のところ、この予兆なども感じていません。

しんどさは我慢しない方法を考えよう

というわけで、長期服用できる低用量ピル「ヤーズフレックス配合錠」についてご紹介してきました。

個人的な結論としては、学生時代からの私のように、生理のたびに体調がしんどい、生理でいやな思いをしてきた方には、利用を考えてみるのもよいと思います。

というのも、「女性である」ということから発生する不利益や身体的苦痛は、我慢し続けなくていいと私は考えているからです。

「自然の摂理だから受け入れるべき」とか「人工的にコントロールすべきでない」という方もいらっしゃかもしれません。ご本人がそうするほうが快適なら、ご自身はそうすればよいと思います。

私だって、本当は自然のまま、ありのままで、「辛ければ休む」「だるければ横になる」「スケジュールを変えるよう要望」などができるのが理想だと思います。

ただ現代の日本社会を生きるなか、スポーツにしろ、学業やビジネスや家事育児にしろ、例えば「疲れたら寝る」のように「自然のまま」でいられる状態はほぼないでしょう。

それなら風邪薬同様に、つらい状態を医学の力で改善することはアリだと思います。

それで、普段の生活や、試合や受験、結婚式など人生のイベントに際し、楽に気持ちよくのびのびとパフォーマンスできるなら、そっちのほうが絶対いい。

何より、自分の辛さを「しかたない」とか「どうせ無理」と諦めるのは止めて、なんとか快適に最適化する方法を見つけていきましょう。

参考

バイエルウィメンズヘルス

「低用量ピル服用と検温は欠かさず実践」~澤穂希さん

「ピルを机の上に置かないで」 日本が低用量ピル後進国である3つの理由

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