実は、この夏、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』に出てくる「そよ風の扇風機」のモデルになった扇風機を買いました。広告を一切経ずに我が家にやってきた高級扇風機を見るにつけ、「ストーリーブランディング」など、ブランディングに基づいた情報発信の力を実感いたします。
【我が家でこの夏大活躍のBALMUDA The GreenFan】
「ストーリー」を発信するブランディング
「ストーリーブランディング」とは、ブランディング手法のひとつです。
会社や商品の「ストーリー(物語性)」を社内外に発信することで、自分たちや商品の見せたい姿、ありたい姿を印象づけます。
ここでいう「ストーリー」とは、読み手の共感を呼ぶ、商品・お店・企業・人(経営者・開発者・作り手)などのエピソードや思いのことです。
ストーリーで商品・サービスが売れる理由
なぜ、今、ストーリーを語ることが有効なのでしょうか。
それは、商品やサービスが豊富で情報発信が容易な、今の日本では、今までのように広告で商品の優位性や安さを訴えるだけでは、買おうという気持ちになってもらえないからです。
さらにいうなら、最高品質と最安値は常に1社、1商品に独占されます。それは主に、資本力のある大手ができることです。
地方の中小企業でも、個人でも、お客の心を引きつければ、一番「好きな」会社や商品になれば、商品・サービスを選んでいただくことができます。
その「好き」という感情を喚起するのが、それぞれの企業や商品、人のもつ「ストーリー」なのです。
近年はインターネットやホームページ、ブログやSNSが一般化し、中小企業でも、個人でも、広告やマスメディアに頼らずして、消費者へ「ストーリー」を直接伝えることができるようになりました。
こうしたことが、近年、ストーリーブランディングの効果が知られるようになった理由です。
ストーリーに共感して購入した「BALMUDA The GreenFan 2018年モデル」
さて、冒頭でご紹介した、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』に出てくる「そよ風の扇風機」のモデルになった扇風機とはこちらのこと。東京都武蔵野市に本社を置くBALMUDA社 のメイド・イン・ジャパン扇風機「The GreenFan(グリーンファン)」です。
バルミューダ 省エネ 静音 リビング扇風機 The GreenFan(グリーンファン) | EGF-1600-WG(ホワイト×グレー)
朝ドラで知った扇風機の価格にびっくり
この商品を知ったきっかけは、先程から繰り返しているとおり、NHK連続ドラマ小説「半分、青い。」です。
我が家では私と小6三女が、このドラマを録画してほぼ欠かさず見ています。
ネタバレあらすじなどで、紹介されていた主人公の大発明が「そよ風を吹かせる扇風機」であり、その扇風機のモデルが、BALMUDAのThe GreenFanだと知りました。
そのとき、「BALMUDA」といえば、私にとって、高級なトースターのメーカーでした。
バルミューダ スチームオーブントースター BALMUDA The Toaster K01E-KG(ブラック)
以前、広報のサポートをさせていただいたホテルニューオータニ高岡でも、ビュッフェでパンを温めるのは、BALMUDAのトースターでした。
中に水蒸気を充満させ、つまみで設定を変更することで、トーストやクロワッサンなど、それぞれのパンに応じた焼き加減で仕上げてくれる優れものです。
これはきっと、扇風機も高品質・高価格なんだろうなあと予感。検索したら、案の定でした。
扇風機36,000円(それも税抜き)って、ほんとですか??
というのが、最初の感想です。
なぜって、我が家にある扇風機は、だいたいこんな感じですから。
価格はおそらく3,000円程度かと。中には20年近く使っているものもあり、耐久性にも不満はありません。
「扇風機は3000円くらいで買えて、20年くらい使えるもの」という先入観が私にはありましたから、10倍以上の価格の扇風機は、そりゃびっくりです。
ホームページに記された「ストーリー」に共感
ではなぜ、その「価格にびっくり」から「買ってみたい」に気持ちが変わったのか。ここには、多くの企業や自営業者の方の情報発信のヒントが見つかります。
まず、前提として、トースターに関する情報から
「BALMUDA社は高価格ながら、高品質でデザイン性の高い家電を作っている」
というイメージはありました。これは実績からのブランドイメージですね。
次に、私がチェックしたのは、バルミューダ社のホームページです。
このホームページでは、代表のプロフィールや、作り手の世界観、自社の創業からの歩みや商品の開発「ストーリー」がしっかり書かれていました。また機能的や品質的に優れている点も、根拠を持って記述されています。
姿勢に共感すると買いたくなるタイプや品質・スペックが良ければ買いたくなるタイプの消費者はぐっとくることでしょう。
ちなみに私は姿勢に共感すると買いたくなるタイプです。これで、品質や企業姿勢に大問題がなければ買いです。
あとは口コミやブログのレビューで、明らかな悪評を見かけないか検索。その結果、買おう!と決意にいたりました。
広告を経ない購買の流れ
この扇風機を私が買うまでの流れを見ると以下のようになります。
1,BALMUDAという高級トースターが食通の間では愛好されていると知る
2,連続ドラマ小説の題材の扇風機にモデルがあると知る
3,この夏、扇風機を1台追加購入しようと決める
4,扇風機の情報収集(安いのにしようか、多機能にしようか迷う)
5,そういえば、連ドラの扇風機はどんなのかしらと検索
6,なんとトースターのBALMUDA製。案の定、高級家電。でも、品質とデザインもいいんだろうなという期待
7,ホームページで「ストーリー」を知り共感
8,他のサイトやブログの商品レビューでも、品質にケチをつける記事など悪評を見かけない
→購入決定
というわけで、BALMUDA社は広告に頼らず、実績(高級トースター)とPR(ドラマの題材に選ばれる)、自社の情報発信(ホームページに記載されたストーリー)と口コミ(他のサイトやブログ)で、私に扇風機を販売したのでした。
このなかで特に影響力があったのは、自社で発信していた「ストーリー」です。これは、ホームページを持っている企業や自営業者、お店なら、すぐに真似できる手法ですよね。
では、「ストーリー」を伝えたいと、思ったときに、まず何から発信したらよいのでしょうか。
「ストーリー」を伝える3要素
ストーリーを語るときには以下のようなことを思い出して、文章にまとめてみましょう。
大義名分の旗を立てる
なぜその商品・サービスを世に送りだしたのか。
「~のために」とか「~を解決したい」といったきっかけがあったことかと推察します。
そういった誰かを応援したい気持ち、誰かに感謝したい気持ち、誰かを助けたい気持ちなど、大義名分の旗を立てましょう。
その旗のもとに、共感する人が集まってきますよ。
独自性(オリジナリティ)や優位性
その商品・サービスの独自性や優位性には、どんなことがありますか。いくらストーリーがよくても、肝心の商品・サービスにいいところ「ウリ」がないと、なかなか買いづらいものです。
全世界の商品・サービスと比較しなくてもいいんです。地域1番など、誇れる分野でいいんです。
例えば、たくさん作れないなら「じっくり丁寧につくっています」など、ポジティブ変換してみましょう。
ちなみにワタクシ、「富山県内で妊婦健診に行った回数が最も多い女性編集者」とPRしたことがあります。これだけが要因ではないと思いますが、そのコンペは通り、マタニティダイアリー作成のお仕事を受注したことがあります。
共感を呼ぶエピソードやヒストリー、思い
ある商品・サービスの裏側には、それを扱う会社や人の歩み、開発の苦労、裏話など、ビジネスの裏側は、小説『陸王』のように、共感を呼び、感動を起こすエピソードで溢れています。
ですが、当人たちは「このくらいの苦労は当たり前」とか「そんなこともあったねえ」程度にしか思っていないことが多いものです。
ぜひその逸話を発掘して、情報発信しましょう。
ストーリーを見つける方法
自分たちでは当たり前と思いがちな「ストーリー」を発見するのにオススメの方法が2つご紹介します。
社史・自分史など年表づくり
自分たちのやってきたことを振り返るには、年表づくりがオススメです。
初心やそのときの苦労、どうやって乗り越えてきたか、何を身につけてきたかなど、時系列で振り返ることで、「大義名分」を改めて言語化したり、独自性に気づくきっかけとなることでしょう。
インタビューをうける
経営者インタビュー、開発者インタビュー、商品紹介インタビューなど、外部のライターなどからのインタビューを受けることも、自社や自分、商品に対する見方を深めることができるよい方法です。
ただし、このときはインタビューする側のライター等にも、スキルがある人を選んでください。商品・サービス分野の知識のほか、社会・経済全般に加え、地域の歴史などに関する知識、ブランディングやコピーライティングの知識にプラスしてライティングスキルがあれば、いうことなしですよ。
そのインタビューは、自分たちの大義名分や独自性、ウリやストーリーを再発見できる素晴らしい時間となることでしょう。
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ここだけに掲載している林原りかの「自分史的自己紹介」をお届け後、言葉やブランディングで、ビジネスと人生を充実させるヒントをお伝えしています。返信もOK!