先日、とある勉強会で富山県庁初の女性部長、須河弘美さんのお話を聴く機会を得ました。興味深いお話だったので、私の感想を交えてご紹介させていただきます。
富山県庁初の女性部長、須河弘美さん
須河さんは昭和59(1984)年、富山県庁に入庁。男女共同参画や高齢者福祉、子育て支援・少子化対策、Uターン推進など、さまざまな分野に関わってこられました。商工労働部次長や議会事務局長を経て、平成30(2018)年4月に初の女性部長となる生活環境文化部長に就任されました。
この日の勉強会では、これまで経験されたそれぞれの分野について女性活躍の観点から、課題や須河さんが考える解決策や現時点の最適解についてお話くださいました。
女性ひとりでものを言っても通じない
そのなかで、特に印象に残ったことは2つあります。
今もなお男社会である日本では、地位も職責もない女性がひとりで何か言っても、それが正しいとしても通じない
ということです。
そこで勧められたのが「偉くなる」「椅子(役職)につく」ということ。
なぜなら、
役職につくことで話を聴いてくれる人が増える。そこで、より小さい労力で自分の意思が伝わりやすくなる
ということでした。だから、女性が生きやすい社会を望むなら、女性も「偉くなる」ことを採るべしということでした。
確かに、その意見には頷けるところです。
例えば、こんなケースがありました。
私の知っている営業部門の管理職ワーキングマザーは、毎日17時30分きっかりに保育園の迎えのために退社します。
「定時に帰るのは、残業している人たちに申し訳なく肩身が狭い」
というママたちの声もよく聴くので、
「定時退社で同僚、部下から非難されたり、会社からの評価が下がることはないか」
と質問したところ、
「私が17時30分に帰ることはずっと前から分かっている。なのに、その後に相談やら報告やら会議やらとしたがるほうが能力が低い」
とのこと。なるほど、女性が管理職になることで組織の「常識」や「ルール」が変わることを目の当たりにしました。
男性に不都合が起こると社会問題化する
介護士の処遇改善問題
ほかには、「男性が不都合が起きなければ社会問題にはならない」という話が、特に腑に落ちました。
事例として挙げられたのが、介護士の処遇遇改善と介護離職問題です。
男性が介護職に就くようになり、初めて「これでは食べていけない」という問題が浮き彫りになったそう。
介護業界が女性ばかりだったときは、低い処遇はそんなもんだと思われていたんですよね。
介護離職問題
また、介護離職問題についてはこう。
仕事をしているなどの事情で介護しない女性が増え、親の介護をする長男が増えています。
そこで働き盛りの男性が、介護のために辞職するようになったことから、介護離職が社会問題になっていきました。
嫁が嫁ぎ先の親や夫の介護のために仕事を辞めても、それは当たり前のこととして受け止められていましたよね。
つまり、女性が苦労や不都合を抱え込んでいる間は、社会はそれを「当たり前」ととらえる。
男性に不都合が起きて、初めて社会問題化するということなんですね。
少子化問題
その観点から少子化問題も考えてみました。
一組の夫婦から生まれる子供の数を増やしたいなら「ワンオペ育児の解消」がカギであることはよく言われています。
なのに、子育て支援策がいまひとつ活発にならないのは、
女性だけで育児の苦労を抱え込んでいて、男性が困っていないから
いう指摘でした。
このお話でも、思い出したエピソードがありました。
それは、とある「イクメン」氏のこと。
ある講演を3歳になるお嬢さんと一緒に聴講したそうです。講義の聴講は数回目で、これまでは講義中も静かにでき、周りの参加者とも仲良く交流できたそう。
ところが、その日はお嬢さんのご機嫌が悪く、いわゆる「ギャン泣き」状態(突発的発作的な号泣)になってしまいました。
聴くのは諦めて外に出たそう。とても楽しみにしていた講演で残念でしたが、気持ちを切り替えてお嬢様との公園デートを楽しんだとか。
子供と一緒に大人の場所に行くと、その日の子供の状況次第で、活動参加を遠慮しないといけないこともあります。
子育て中のワーキングマザーの多くは毎日、本業の仕事でこうした「子供次第」な状況に置かれています。
保育園の送りでギャン泣きが始まれば、遅刻につながります。そこで時間にルーズと評価されがちです。
大きな病気や親が行かなくてはならないトラブルも、いつ起こるか予想ができません。そこで、責任のある仕事に手をあげにくくなります。すると、責任感や積極性、向上心がないと評価されかねません。
きっと、男親も講演会くらいではなく、日々の仕事で子供のギャン泣きや発熱に振り回されて遅刻やドタキャン、欠勤が重なれば、子育て中の労働者に働きやすい環境整備がもっと進むのでしょうね。
夫にも長期の育児休暇を
須河さんのアドバイスはこう。
- まずは、家庭の中で、自分ひとりが家事育児を抱え込むのをやめることから始めましょう。
- 分業できるよう、夫にも早く帰宅してもらいましょう。
- 一人前の家事育児の担い手になるよう、月単位の長期の育児休暇を夫が取るようにしましょう。
というものでした。なるほど、そのとおりです。そうできれば理想的です。
結局、パートナー選びが一番大事
ただ、男親の多くは
「アポがあるから抜けられない」
「職場に迷惑がかかるから休めない」
「みんなも忙しいのに自分だけ早く帰れない」
などとおっしゃいます。
しかし、女親だって、簡単に抜けられるから、休めるから、子供に対応しているわけではありませんよね。
自分が育児における「最後の砦」だから行くしかない。そのために責任ある仕事に就きづらく、アポの相手や職場の仲間には頭を下げて、子供のもとに走っています。
男親が育児や家事を分担するために早く帰るためには、本人のやる気がないと結局のところ
「やりたいけどできない」
などと言い訳して、実行することはないだろうなあと感じます。
また、企業側の少子化問題や従業員の豊かな私生活への関心にも左右されます。
「そんな悠長なことを言って、会社が潰れたらどうしてくれるんだ!」
という「昭和」な価値観。男性の長時間労働もこの発想から生まれるわけで、ここが一番のネックだと、私は感じています。
これまで、ワーキングマザーを何人も取材して実感するのは、活躍されているママにはほとんどの方にご両親や夫、ママ友など、育児や家事の苦労を分かちあってくれる存在や理解ある上司と会社の存在があることです。
というわけで、私なりの現状の結論はこう。
パートナー(夫と勤務先)選びがやっぱり一番大事
というデンマークでの女性活躍に関する取材と同じことを考えておりました。
育児を分かち合えない男性は配偶者や子供を得ることができない、「昭和」な会社は人手不足に苦しむ……となれば、世の中も変わることでしょう。
困りごとは自分だけで抱え込まずに頼るところは頼ることは本当に大事です。それがきっかけで、ある困りごとが社会の課題として認識され、解決に向けて動き出した……ということは私も経験があります。
「女ひとりで言っても、男社会には通じない」
は確かにそういう側面がありますが、せっかくの情報化社会です。周りにぼやいたり、SNSでつぶやいたり、ブログで論じたりと、少しでも声を出して情報発信していきましょう。
商店日報
午前中は原稿作りやデータの確認依頼。午後は軽くジョギングをしてから、24時間テレビを見ました。我が家では大晦日と24時間テレビの日は、「どれだけ夜更かししてもOK」ということになっています。
GOOD&NEW
来週の大会のパンフレットと大会HPを熟読しました。わからないことがまだいっぱいあります。どきどきします。
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ここだけに掲載している林原りかの「自分史的自己紹介」をお届け後、言葉やブランディングで、ビジネスと人生を充実させるヒントをお伝えしています。返信もOK!