子供が「読書感想文が書けない」と言ったときの対処法。我が家の事例を踏まえて

2018年8月20日付けの日経新聞に「感想文『本選び』手伝う親47%」という記事がありました。私も、娘の読書感想文をサポートしました。

目次

読書感想文を書く手順

構成を立てる

本を読み終わったら、いよいよ文章執筆を始めます。

このときはいきなり原稿用紙に書かないことが大事。まずは構成を立てて、文字数を配分しましょう。

おおまかな構成は、学校でも習うこちらがオススメ。

  • 始め(序論)
  • なか(本論)
  • 終わり(結論)

文字数を分配する

文章量は、娘の学校では原稿用紙4~5枚。文字数にすると1,600~2,000字です。

そこで、借りに以下のような文字数を配分します。

  • 始め(序論)…2割:320字
  • なか(本論)…6割:960字
  • 終わり(結論)…2割:320字

何について書くか決める

読書感想文の場合、「始め」「なか」「終わり」には、それぞれこんなことを書くことにすると、書きやすいでしょう。

  • 始め(序論)……この本を読んだきっかけ。本の簡単なあらすじ
  • なか(本論)……一番心に残った場面とその理由。比較(これまで読んだ他の物語との比較、自分の考えとの比較など)
  • 終わり(結論)……この本を読んだ後、自分の心や行動にもたらされた変化

思いつくことを箇条書き

まずは箇条書きで、上記の事柄について書いていきます。

例えば、『西の魔女が死んだ』(梨木香歩著/新潮文庫)を選んだ我が家の中2次女の場合、「きっかけ」は

・図書館で見つけて、タイトルが気になった

のような感じです。

「心に残った場面」は、

・おばあさんとベリーを摘んでジャムにしたシーン

・色鮮やかな風景が目に浮かぶようだったから

など、思いつくままに書き出していきます。

親からの「質問」で掘り下げる

さてここまでできたところで、文章にしていける子もいるでしょう。

ここで、娘は壁にぶつかりました。

「お母さん、文字数が足りない」

というのです。

そう、箇条書きをそのままつなげただけでは、1,600文字には遠く及ばず、内容もほとんどない状態です。これは、多くの人がぶつかる壁ですね。

ここから「文章を増やして」、作文に仕上げていく必要があります。さて、どうやったら、文字数を増やしていくことができるのでしょうか。

文字数稼ぎNG例

私が子供のころよくやった文字数稼ぎは以下のようなものです。

  • 改行を増やす
  • ですます調にする
  • 会話文をやたらと増やす
  • 持ってまわった言い方をする(例 それは可能なのではないかという気がなんとなくしたように思われます。→「それは可能な気がした」でOK)

今から思えば、全部NGです(笑)。真似しないでください。

内容を充実させれば、結果的に文字数が増える

では、どうするのでしょうか。ここで親の出番です!

構成を考慮しつつ質問をして、もっと詳しい情報を足していきましょう。

「読書感想文」といいますが、実は読書感想文は自分のこれまでについてや、自分の思いを綴る、いわば「自分感想文」です。

自分自身を振り返るサポートをして、子供の言葉を引き出していきましょう。

例えば先程ご紹介した「きっかけ」の

・図書館で見つけて、タイトルが気になった

には、こんな質問をしてみました。

この本を読んだのはいつ→小学校5年生のとき

  • 図書館のどこの棚にあったの?→小学生向け文庫本(こちらが目当ての本)の近く
  • 見つけたときの気持ちは?→ファンタジー系の本かと思った
  • なぜファンタジーが好きだった?→ファンタジー系のゲームが好きだった
  • 本当はどんな本を探しにいったの?→青空つばさ文庫の本
  • タイトルの何が気になったの?→「魔女」「死んだ」のワード「え? 魔女が死ぬの?!」と引きつけられた
  • 内容は期待どおりだった?→全く違っていた
  • どんな話しだった?→不登校の女の子が、外国人のおばあさんの家でしばらく過ごす話
  • 期待と違っていたのに、なぜ読み進めることにしたの?→どうやらおばあさんが死んだらしく、冒頭からびっくりしたから

いかがでしょうか。娘ならではの視点や情報がかなり増え、イキイキした内容になってきたと思いませんか。

もしも、気がきいた言い回しが出てこないようなら、「○○って感じだった?」と親の方から質問してみてもいいでしょう。

「そうそう、それがいいたかったの」

と子供のボキャブラリーが増えるきっかけにもなります。

さて、娘の解答をネタに、ちょっと書いてみましょうか。

私がこの本と出会ったのは、小学校5年生のときのことです。

当時の私は、小学生向けの『青空つばさ文庫』が好きで、その日も図書館に新しい本を探しにいきました。

そのとき、ふと目にとまったのが、隣に並んでいた、つばさ文庫よりひと回り小さなサイズの大人っぽい本のシリーズです。

私には難しいような気がして、今までそのシリーズを手にしたことはありませんでした。

しかし、その日は、そのシリースの一冊の背表紙に書かれた文字が、私の目に飛び込んできました。

『西の魔女が死んだ』

このタイトルを見たとき「え? 魔女が死ぬ話?」と……(続く)

ほら、かなり文字数が増えるでしょ(笑)。

この調子で、一番心に残ったシーンも、

「なぜ心に残ったんだと思う?」

「今まで読んでいた本との違いは?」

などなど、質問をして、子供の頭の中の映像や気持ちをどんどん言葉にしていきましょう。

「ふくらます」というよりも「詳しく説明する」という感覚ですね。

自分の言葉で語り、それを相手が

「へええ」

「なるほどね」

「そんなふうに感じてたんだ」

と相づちを打って聴いてくれるのは楽しいものです。

中2次女も自分の体験や思いがネタになり、自分だけの読書感想文にどんどん成長していくことが面白い様子です。

何回か質問タイムを繰り返したあと、

「なるほど、こうやれば文字数が増えるんだ。これなら書けるね!」

と、あとは自分で書き終えました。

まだ本も読んでいない人は名作短編小説がオススメ

「もう夏休みが終わるのに、実はまだ本も読んでいません」というお悩みも耳にしました。

まだ、間に合いますよ。お子さんを叱る前に、本を選びにいきましょう。

なお、今から本選びをするなら、オススメは名作短編小説です。

なぜなら、名作といわれる作品は面白いもの、含蓄のあるものが多く、読解のポイントや参考なる感想も、ネット上に多く紹介されています(ちなみに、読書感想文に手をつけるのが遅かった高2長女は、芥川龍之介の『杜子春』を選びました)。

また、短編ということで、数時間か数十分程度で読み終えることができます。

8月31日まで時間はありません。さっさと読んでしまいましょう。

「わざわざ読むのが面倒なら、ちょっとした待ち時間や眠る前など、隙間時間にちょっと読んでみるといいよ」と、次女からのアドバイスです。

次女のように、以前読んだお気に入りの本があれば、その本で書くのがいいですね。

読書感想文を親子の思い出に

読書感想文というと、面倒な宿題の代名詞のようになっていますが、それはもったいないことだなあと感じています。

ぜひ、読書感想文を親子の語らいの機会としましょう。この夏一番の思い出になるかもしれません。

そして、自分の言葉で自己表現する楽しさをお子さんにはぜひ実感してほしいもの。培われた文章力は、お子さんの一生の財産になるはずです。

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