先日、とあるホームページに使用する料理写真を撮影するためのディレクションを行いました。料理の撮影をする前や撮影中に編集者はどんな仕事をしているのでしょうか。
【調理を担当くださった料理研究家の瀬尾三礼さん】
ディレクションとは「進行管理」のこと
ディレクションとは英語の「direction」のこと。本来の意味は、「方向」とか「指示」「命令」といった意味ですが、日本語(片仮名)になると制作指導や進行管理も意味します。
メディアに掲載されている写真の多くは、編集者などがディレクションし、撮影されています。
「料理の撮影」というと、料理家とカメラマンがいればOKと思われがちです。
では、編集者は何をしているのでしょうか。
撮影前の準備
それぞれのスケジュールを合わせる
料理家やカメラマン、場合によっては媒体のスポンサーやデザイナーやウェブディレクターなど、撮影に立ち会う必要がある方々のスケジュールをあわせて、撮影日時を決定します。
料理家が構想したり、試作したりする時間も踏まえ、その前に打ち合わせをする日時も決定します。
この方に料理や撮影をお願いしたい!と考えたとき、日程的に可能か、報酬は予算に対して妥当かなどの確認もします。
撮影内容を共有する
撮影に関わる料理家やカメラマンが決まったら、「どのような写真を撮るか」を共通認識とします。
そのとき、編集者たる私からお伝えするのは、以下のような情報です。
- 掲載媒体の概要
Webか紙か。掲載されるサイズはどのくらいかなど
- 目的
サイトの読者対象はどのような人たちか。性別、好み、家族構成など。その人達にどのような印象を与え、見た後にどう行動してほしいか。
- 撮影対象
どんな料理を何点撮影するか
- 構図
どのようなシーンを想起させるか、写真のトーンはどうするか。
同じものを撮影するときも、「全体的にはっきりと撮影する」「ある部分にだけ焦点を合わせ、ほかはぼかす」「影を強く出す/出さない」など、考えることがあります。ほしい写真のイメージを伝えます。
当日のタイムスケジュールを立てる
撮影当日、どのようなペースで料理を作り、撮影には1品どのくらいの時間がかかるのか。機材の準備や撤収にどのくらいの時間がかかるかなどを予測し、撮影時間を確保します。
調理素材の手配
撮影用の食材はもちろん、試作用も含めて、食材が作り手に届くよう手配します。
器や小物の手配
料理撮影には、料理のほか、器や小物も必要です。どんなものを誰が用意するのかを明確にしておきます。
撮影当日のサポートとジャッジ
カメラマンのセッティングのお手伝い
ライティングなどの機材はカメラマンさんがセットされますが、その場所をどこにするかを確認したり、撮影機材がセットできるようテーブルや椅子をあちこちにずらしたり。
器や小物の選択へのジャッジ
掲載媒体のイメージやコンセプトに合わせて、料理家やコーディネーターの選んだ器やランチョンマットなど小物がふさわしいかを判断します。
「こっちとこっち、どっちがいい?」となれば、皆さんのご意見を踏まえ、編集者の私が最終決定します。
撮影された写真へのジャッジ
撮影する写真は、カメラマン個人のアート作品ではなく、媒体のために撮影していただくものです。
そのため、「この写真がOKか」という判断を出す人が必要になります。
今回の場合は最初に撮影した写真に対して、「キレイに撮れてはいるけれど、家庭的な温かみが感じられない」ということで調整をお願い。小物も取り替え、結果OKとなりました。
【ジュウジュウ炒めるところの動画撮影も】
進行がスムーズに進める「時間管理」
時間どおりに調理と撮影が終了するよう、編集者にはタイムキーパーの役割も求められます。
また、すべての品目とほしい構図の写真の撮影が完了しているか、撮影リストをチェックします。
今回は予定通りすべて料理と撮影が終了しました!
【この写真はスマホで慌てて撮ったらぶれてしまいました……不覚】
サイトに掲載するのカメラマンが撮ったキレイな写真です。ホームページが完成したら、またお知らせいたします。
まとめ
カメラマンがいれば写真の撮影はできると思われがちです。
しかし、掲載媒体が決められている商業写真の場合は、ある目的のために一定の編集方針に従った撮影が必要となります。
そのためにはディレクションを行う編集者(広告代理店の営業マンだったり、企業の広報担当だったりいろいろですが、編集者的役割を担う人)の役割も大切です。
カメラマンや料理家、デザイナーら、その道のプロが連携して相乗効果が生み出せるようサポートするのが、編集者の仕事です。
商店日報
日中は自転車のトレーニング。その後は書類を届けたり、細々とした仕事を進めました。
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