私は「編集者/ライター」と名乗っております。ライターにもいろいろあり、私はいくつかのジャンルを掛け持ちしております。なかでも多いのは、「取材したり調べ物をして原稿としてまとめる」というノンフィクションのルポライターのお仕事です。今回は、ノンフィクション原稿を書くときの手順をおさらいしてみました。
【取材で訪れた病院にて】
ノンフィクションとは
「ノンフィクション(nonfiction)」とは、文字通り「フィクション(fiction)ではない」という意味です。では、「フィクション」とは何か。
「フィクション」は、想像によって作り上げられた事柄や虚構を意味します。作者の想像力によって作り出された小説などの物語はフィクションです。
一方、「ノンフィクション」は、創作のない読物を刺します。例えば、記録文学・紀行文・歴史ものなどが挙げられます。
お店の取材とか、ある特定のグッズを取材して書くような内容も、ノンフィクションですね。
私は、企業の活動や歴史、スタッフの方の経歴や思いを読み物にさせていただいたり、創業者の伝記的な読み物を書かせていただくお仕事をよくさせていただきます。
書いていていつも感じることがあります。
ノンフィクションのストーリーは財産
それは、これまでの歴史や経験、思いなどのいわゆる「ストーリー(物語)」は、その企業やその人にとって、大きな財産だということです。
お金を出しても買えません。そのストーリーが個性や強みを生み出、ファンや仲間をつくる源泉となります。
こうしたストーリーはぜひ、文章などで記録し、ホームページやブログ、コンセプトブックや社史など、読み物などの形で発表することをオススメします。
でも、いざ「ノンフィクションのルポを書こう」と思っても、何からやって、どう書けばいいのでしょうか。
ノンフィクションを書く手順
ノンフィクションの書き方には、ライターの数だけ、いろいろな方法があることでしょう。一例として以下のような手順をご紹介します。
執筆テーマや題材を決める
私はお客様からご依頼いただいて執筆することがほとんどなので、執筆テーマは与えられることが多くあります。
テーマがある場合でも、大まかな取材対象は決められていますが、そこから何をクローズアップするかを決めていく必要があります。
編集方針やライターとして「これは他の人に伝える価値がある」と感じる事柄などに応じて、考えていきます。
資料を探す
執筆となる対象やテーマの時代背景、業界の状況などを示す資料を探します。また、取材対象から内部資料をお預かりすることもあります。
ここで、概要や傾向、取材対象の立ち位置などを大まかにつかみます。
人や現場を取材する
テーマに合わせ、御本人や詳しい方から情報を得ます。
誰かにお話を伺うときには、なるべく質問項目は作ってからインタビューするようにしています。その方が、限られた時間で濃い情報を得ることができるからです。
お話を聴きたいと考えたときには、偉い方、忙しい方であっても、遠慮せず取材を申し込みたいところ。断るのは、先方の自由ですからね。
取材当日は、相手が話しやすいと思われる服装を心がけましょう。遅刻しないよう、30分くらい前に着くように出るとよいでしょう。
また、話は鵜呑みにせず、当人以外の人にも話を伺います。取材の内容が正しいかを確認する「裏とり」です。
テープ起こし(文字起こし)
取材して聴いた音声を文字にします。これは意外に時間がかかり、集中力のいる仕事です。けっこう疲れますのでご注意ください。
情報を整理し、取捨選択する
ここからが大変なところ。ライターの個性や技量が試されるところです。
伝えたいテーマと取材内容の間にズレがないか、テーマを語るに必要なポイントは何かなど、再度確認します。
それらを踏まえ、集めた情報の中で何を書いて、何を捨てるかを決めていきます。
過去に書かれた資料の情報は補足程度とし、今回の取材で初めて分かったことを中心に考えるように心がけています。
ウェブサイトに掲載する記事は比較的文字数の制限が緩やかです。一方、紙媒体の場合は「文字を掲載できる面積」という情報量の制限があります。
その特徴から紙媒体は特にシビアに、文章や内容を削っていくことになります。取材で伺ったお話を5割から7割は切り捨てる情報になることが多いイメージです。
構成を決める
文字数のほか、伝えたい事柄や全体の流れ、読後に感じてほしいことなどを考慮しながら、書く内容と構成を決めます。
起承転結や序本結など、文章の型を考慮しつつ、それぞれの情報の並び順、文字数、書き出しとまとめの文章などを決めます。
構成は手書きでチャートを書いたり、トピックスごとに付箋にメモして並び替えたりして考えています。書き出しと終わりが、すごく悩みます。
書く
書くことと組み立てと文字数配分が決まったら、書きます!
このときの注意点は、伝えたいテーマやポイントを、事実の記述を積み重ねることで伝えることです。
例えば、「すごい人です」と書くのではなく、すごさを表す事実のエピソードを書くことで、読み手に「すごい人だなあ」と感じてもらえるようにします。
推敲して修正
読み返して、文章を直します。
できれば一晩あけて新鮮な気持ちで読み返しましょう。分かりにくい部分がよく見えます。また、声に出して読んで、リズムや語感の悪いところは直します。
文章を研ぐような感じです。見返すたびにどこか直したくなるものですが、どこかで完成させましょう。
完成!
これで、一応の完成ととなります。
「一応」といったのは、ライターの書き上げた原稿は、まだまだ素材の状態だからです。
さらに、編集者や校閲者がチェックします。取材先やご依頼主、識者の方などに、確認していただくこともあります。
そこで疑問出しや間違いの指摘があれば、また調べたり、修正したりして、ようやくテキスト原稿ができあがります。
ライターではない方がルポを書く場合は、身近に編集者や校閲者がいることは稀でしょうから、上司や同僚、家族などに目を通してもらうのがよいでしょう。
分かりにくい部分を指摘されても「●●という意味で書いたんです!」と口頭で反論や補足するのはやめましょう。その「●●」という意味に読み取れるよう、書き直すべきです。そう、また推敲&修正です!
というわけで、原稿の書き方でした。
素敵な記事ができますように!
商店日報
昨日は10年来のお付き合いがある病院の周年記念イベントを取材してきました。夜は子供達が私の誕生会を開いてくれました。
初めてその病院のお仕事をさせていただいたときは、三女が生まれてまもなくのこと。長女もまだ保育園児でした。
そんな娘たちが、仕事をしている私のために何時間もかけて、私が好きなメニューを作ってくれました。10年間、早いような、長かったような不思議な感覚です。
GOOD&NEW
病院の透析食を試食させていただきました。減塩でヘルシーですが、とても美味しかった!
メルマガ登録はこちらから
ここだけに掲載している林原りかの「自分史的自己紹介」をお届け後、言葉やブランディングで、ビジネスと人生を充実させるヒントをお伝えしています。返信もOK!