【坂東眞理子さんへのインタビュー 2012年11月19日】
記事を作るときに、誰かからお話を伺う「インタビュー」。質問に回答をいただくだけなら、アンケート用紙に記入していただくのでもいいはずです。インタビューする意味は、どこにあるのでしょうか。
なぜ「インタビュー」を行うのか
「インタビュー」は、『広辞苑』では以下のように説明されています。
- 会見。面会。面接。
- 取材のために人に会って話しを聞くこと。また、それをまとめた記事や放送。
英語の「interview」からきています。英語でも意味は同じです。
インタビューする人を「interviewer(インタビュアー)」、される人を「interviewee(インタビュイー)」といいます。
でも、不思議だと思いませんか?
質問にただ答えてもらうだけなら、アンケートでも十分なのではないでしょうか。
実際のところ、手間暇かけずに安価に、あるいは大量に記事を作成しようとする場合などは、取材対象に予め決めた質問項目に答えてもらい、その回答をリライトして記事をつくることもあります。
では、なぜ、「インタビュー」という取材技法を使う必要があるのでしょうか。
インタビューのデメリット
必要性を考える前に、「インタビュー」のデメリットも確認しておきましょう。
インタビューのデメリットは、「手間と費用がかかる」ことです。
手間というのは、以下のようなものがあります。
- 取材相手を見つける
- 取材相手にアポをとる
- 取材相手について下調べをする
- 取材相手に会いに行く
- 取材相手の話しを聴く
- 音声を文字起こしする
- お話の内容を切ったり張ったり編集する
- 取材相手に原稿チェックをお願いする
などなど。
取材相手から「意図した内容と違う」などと指摘を受ければ、原稿を手直しすることもあります。
また、費用には以下のようなものがあります。
- 取材相手への謝礼(不要の場合もあります)
- 取材場所の会場料
- 飲食物の購入費
- 移動の交通費
- ライターやカメラマンへの報酬
もしも、メールでアンケートや掲載写真提供をお願いしたり、ネットや既刊書籍などから情報を集めたりして記事をつくれば、上記のような手間と費用はかなり抑えられます。
それでも「インタビュー」には、やるだけの価値があるから実施されるわけです。
では、その価値とは?
「インタビュー」の語源が示す意義
ここで「インタビュー」の特徴をさらに押さえておきます。
1番の特徴は、英単語の意味から見て取れます。インタビューは英語の「interview」ですね。
この単語は「~の間」を意味する接頭語「inter」と「見る」「視野」を意味する「view」に分けることができます。
語源は、中世フランス語で「互いに見る」を意味する「entre voir」です。
「interview」には、インタビュアーとインタビュイーが互いに向き合あって、互いの視点や視野をもつ、という意味があることが分かります。
つまり、「インタビュー」は、インタビュイーとインタビュアー双方がそれぞれの役割を持ち、視点を分かち合うことで、新たな話(=情報)を引き出す手法です。
インタビューのメリット
インタビュイーとインタビュアー双方がそれぞれの視点を持って、インタビュアーがインタビューの話を聴くことで生まれるメリットには、以下のようなものがあります。
インタビュイー側
- 書くのが苦手でも、聴き手がいると伝えやすい
- 質問に答えればいいので、話す内容が考えやすい
- 質問によって、思考が広がったり、まとまったりする
インタビュアー側
- 作る記事の対象や内容に合わせて、必要な話をその場で引き出せる
- これまでにない新しい話が聴ける
- 興味深い話が出たら、その場で質問して、情報を広げたり、深掘りしたりできる
- 口調や態度、表情など、言語外の情報も受け取ることができる
聞き手としては、お時間をいただき、時間と費用をかけてインタビューをしておきながら、どこかで見た話しか聴けない書けないと、自分の力量不足を猛省する必要があるわけです。
記事の良し悪しを左右するインタビュアー
上に挙げたようなインタビューのメリットを最大化してよい記事をつくるには、何が必要でしょうか。
ここまで見てくると、インタビュイーのもつ話(情報)の面白さはもちろん、聞き手であるインタビュアーの知識や好奇心、関心の方向、その場での質問力などのスキルが、大きな要素であることがおわかりいただけるでしょう。
そんなわけで、インタビュー記事には「聞き手:●●」のように、聞き手の署名が入ることもあります。
よい「聞き手」になるために
誰かのお話を伺い、その方の談として情報発信することは、取材相手の方の信用やイメージ、ブランディングにも関わる一大事です。
発表した記事が、その人や読者の運命を左右するがあることへの責任も、聞き手、書き手、発信者として感じています。
よい質問をして相手から本音を引き出し、いい記事を書くためには、聞き手となる自分自身の知識やスキル、人間性を高めることが不可欠です。
インタビューをする人は、そんなことも肝に銘じつつ、日々を過ごしていきましょう。
商店日報
昨日の午前は、インタビュー音声の文字起こしや校正者に依頼した原稿整理の確認、著者に依頼した初校チェックの確認など。
午後は、新しい書籍編集の打ち合わせ。6年ごしで作られた原稿をまとめる書籍の仕様や制作費、スケジュールなどについて詰めてきました。
完成した販促ツールの納品も。
GOOD&NEW
「セブンイレブンのサラダチキンフライ」
サラダなんだかフライなんだかというネーミングの鶏胸肉フライです。
あっさりしていて、もも肉より好みでした。
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ここだけに掲載している林原りかの「自分史的自己紹介」をお届け後、言葉やブランディングで、ビジネスと人生を充実させるヒントをお伝えしています。返信もOK!